福祉車両の購入を検討している方、またはすでに福祉車両を所有している方は、福祉車両割引を扱っている任意保険への加入を検討しましょう。割引率は高くありませんが、少しでも保険料を節約したい方に適しています。
今回は、福祉車両割引の概要、適用条件、対象となる車の種類、利用時の注意点など、詳しく見ていくことにしましょう。
任意保険に加入する際に契約車両が福祉車両だった場合、「福祉車両割引」が適用されることがあります。すべての保険会社で取扱っている割引サービスではありませんが、該当する方は取り扱いのある保険会社の利用を検討しましょう。
そもそも福祉車両とは、高齢者や身体障害者の方のために改良された車のことです。たとえば、車いす移動車、身体障害者輸送車などが該当します。
福祉車両で任意保険に加入する際は、「車検証の写し」「運転補助機能を取り付けた際の領収書」、「福祉車両を注文した際の注文書・納品書」などが必要となるケースが多いため、提出書類の内容を保険会社に確認しておきましょう。
なお、福祉車両割引には適用条件が設けられています。保険会社ごとで若干異なるため、次項で詳しく見ていくことにします。
今回、任意保険を取扱っている保険会社をリサーチしたところ、下図の保険会社にて福祉車両割引を取扱っていることが分かりました。福祉車両の適用条件は、主に以下の3つとなっています。
上記の内容を踏まえた上で、各社の適用条件を見ていくことにします。
保険会社 | 適用条件 |
---|---|
東京海上日動 | ①、②または③ |
あいおいニッセイ同和損保 | ①、②または③ |
三井住友海上 | 要問合せ |
朝日火災 | ①、② |
共栄火災 | ①、② |
富士火災 | ①、② |
AIU損保 | ①、② |
JA共済 | ①、② |
マイカー共済 | ①、②または③ |
東京海上日動、あいおいニッセイ同和、マイカー共済は、①、②または③を満たしている必要があります。また、三井住友海上を除くその他の保険会社は、①の他に②の基準を満たしていれば福祉車両割引が適用されます。
ちなみに三井住友海上の場合、福祉車両割引を扱っていることは分かりましたが、「割引内容の詳細・適用条件などは、取扱い代理店もしくは当社までお問い合わせください」といった案内に留めています。そのため、詳細は三井住友海上へ確認してください。
なお、以下の保険会社に関しては、福祉車両割引を取扱っていません。
ほとんどの保険会社が、ダイレクト型であることが分かります。つまり、福祉車両割引を利用したい場合は、代理店型の保険会社の利用を検討した方がよさそうです。
ただし1点注意したいのは、福祉車両割引が適用されないからといって、「福祉車両の引き受けを行っていない」わけではないということです。
たとえば、ソニー損保やセゾン自動車火災の場合、事前に車検証を提出し、福祉車両であることを確認した上で引き受けをしています。また、WEBでの見積もりは行っておらず、電話で相談してから見積もりの作成可否が決まるようです。
このように、福祉車両の引き受けに関しては、保険会社ごとに対応が分かれますので、事前に確認しておくことをお勧めします。
福祉車両割引が受けられる車の種類とは、以下の2つのことを指します。
両方の条件を満たしている車もありますが、どちらか一方しか満たしていない車も存在します。車検証上の車体形状の条件はクリアしていても、消費税非課税措置の対象となっていない車の場合は、引き受けを拒否されることがあるため注意しましょう。
なお、参考までに「車いす移動車」の構造要件をリサーチしてみました。全部で7項目あったため、一部のみ抜粋します。
「車いす移動車」の構造要件 |
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・車イスを固定する場所は、車いす利用者の安全な乗車を確保できるよう、必要な空間を有すること ・車いす利用者の安全を確保するため、車いす利用者が装着することができる座席ベルト等の安全装備を有すること ・物品積載設備を有していないこと など |
国土交通省「車体の形状及び構造要件」より引用
国税庁の公式WEB サイトを確認したところ、「身体障害者用物品に該当する自動車(平成29年4月1日現在法令等)」にて以下のように案内されていました。
身体障害者物品に該当する自動車 (平成29年4月1日現在法令等) |
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乗用自動車のうち非課税となるものは、身体障害者の使用に供するものとして特殊な性状、構造又は機能を有する次の自動車です。 イ 身体障害者による運転に支障がないよう、道路交通法第91条<<免許の条件>>の規定により付される運転免許の条件の趣旨に従い、その身体障害者の身体の状態に応じて、手動装置、左足用アクセル、足踏式方向指示器、右駐車ブレーキレバー、足動装置、運転用改造座席の補助手段が講じられている自動車 ロ 車いす及び電動車いす(以下「車いす等」という。)を使用する者を車いす等とともに搬送できるよう、車いす等昇降装置を装備し、かつ、車いす等の固定等に必要な手段を施した自動車 |
国税庁の公式WEB サイトより引用
上記条件を満たしている場合は、消費税非課税措置の対象車となります。自ら判断することは難しいため、自動車販売店や保険会社に確認することをお勧めします。
ちなみに、福祉車両割引が受けられる車の種類といってもイメージしづらいものですが、福祉車両として有名なのは、「トヨタ・ウェルキャブ」です。トヨタで取扱っている福祉車両は全て「ウェルキャブ」と呼ばれており、様々な車種・仕様・タイプがあります。
たとえば、運転補助装置が搭載された車、回転シートや昇降シートが取り付けられた車、スロープやリフトがついており車椅子のまま乗ることができる車など、トヨタで取扱っている福祉車両であれば全て「ウェルキャブ」になるということです。
トヨタ以外でも複数の自動車メーカーで福祉車両を扱っているため、直接問い合わせて確認してください。
福祉車両割引がある保険会社の割引率は、下記のとおりです。
保険会社 | 適用条件 |
---|---|
東京海上日動 | 3% |
あいおいニッセイ同和損保 | 3% |
三井住友海上 | 要問合せ |
朝日火災 | 3% |
共栄火災 | 3% |
富士火災 | 3% |
AIU損保 | 3%(2018年1月1日より適用予定) |
JA共済 | 3% |
マイカー共済 | 7% |
三井住友海上のみ、公式WEBサイト上で割引率を公開していませんでした。しかし、大半は「3%割引」となっています。マイカー共済のみ「7%割引」です。
一見、あまり割引されないように見えてしまいますが、もう1つ注目したい割引サービスがあります。2017年10月現在、AIU損害保険が扱っている「障害者割引」です。
記名被保険者(主に運転する方)、またはその配偶者・同居家族のいずれかの方が「障害者手帳」「療育手帳」などを持っている場合に適用されます。10%割引となっており、適用条件は比較的緩やかですので、利用を検討してください。
上記表のAIU損保の項目をご覧いただくと分かるとおり、AIU損保で福祉車両割引が適用されるのは、2018年1月1日(予定)からです。保険始期日が2018年1月1日より前となる場合、福祉車両割引を使うことはできません。
また、AIU損害と富士火災海上は、2018年1月1日に合併する予定となっており、経営統合されて「AIG損害保険株式会社」へと社名がかわります。保険始期日によって保険の契約内容が変わるため、事前に確認しておきましょう。
なお、合併されることで、「福祉車両割引」「障害者割引」の取り扱いが以下のように変わります。
一括見積りとは、複数社の見積もりを一度に依頼することができるWEBサービスのことです。残念ながら、福祉車両は自動車保険(任意保険)の一括見積りを利用することはできません。
なぜなら、福祉車両であることを確認した上で、見積もりを作成している保険会社があるからです。そのため、自ら1社ずつ連絡をして見積もりを依頼しましょう。
福祉車両割引を利用する際は、以下の4つの点に注意しましょう。
福祉車両割引には、併用できない割引サービスがあります。たとえば、エコカー割引、電気自動車割引、CNG社割引、ハイブリッド車割引などです。
福祉車両割引の割引が優先されてしまうため、適用される割引サービスの割引率を確認し、「福祉車両割引と併用することは可能か?」「最も割引率が高いサービスはどれか?」をチェックした上で福祉車両割引を利用しましょう。
なお、共栄火災の場合は少々特殊です。福祉車両割引を単独で使用した場合は3%割引ですが、ハイブリッドカー・電気自動車割引と併用できる場合は、最大5%の割引となります。
任意保険に加入する車両が福祉車両となる場合、ネット見積もりに対応していない保険会社が目立ちます。特にダイレクト型の保険会社に多いようです。つまり、見積もりと申込みは電話で手続きを行うことになります。
ここで注意したいのは、電話から申込みをするとネット割引が使えないことです。ダイレクト型の保険会社の場合、ネット割引を提供しているケースが多く、年間保険料が最大1万円ほど割引されます。
そう考えると、損をしたような気持ちになってしまいますが、元々ダイレクト型の任意保険料は、代理店型よりも安く設定されているものです。割引の適用可否に関係なく、代理店型の保険料よりも安く済むことがあります。
とはいえ、保険料の安さだけでダイレクト型への加入を決めるのではなく、必ず見積もり内容を比較し、加入先を決めるようにしましょう。
任意保険の契約途中で車両入替をして福祉車両となった場合、割引が適用されないことがあります。保険会社ごとで取り扱いが異なるため、事前に確認しておきましょう。
全ての保険会社が該当するわけではありませんが、一部の保険会社で補償内容を制限していることがあります。特に車両保険に関しては、制限されているケースが多いといえそうです。
なぜ補償内容が制限されているのかというと、装備が一般車両と異なることが関係しています。様々な機能を備えている福祉車両の場合、事故で損害が発生すると高額な修理代が掛ることも少なくありません。
そうなると、保険会社が支払うことになる保険金が高くなるため、補償上限額を制限したり、そもそも車両保険に加入することができないなど、保険会社ごとで対策を講じていることがあるのです。
また、車両保険を付帯することができたとしても、保険料が高額になることがあるため、見積もり時に詳細を確認した上で、補償内容を工夫しましょう。たとえば、免責額を設定したり、補償範囲を限定すると保険料を節約することができます。
私は年間で57,230円の保険料を支払っていましたが、保険スクエアbang!という一括見積もりサイトを利用して、保険料を20,630円まで安くすることに成功しました。
保険スクエアbang!は、見積もり結果がブラウザ上に表示されるので、すぐに保険料を知りたい方にはかなり便利なサービスだと思います。
ちなみに、難しいことは一切していません。5分くらいで出来てしまいました。見積もりサービスと聞くと、資料が大量に送られてくるんじゃないの?電話などの勧誘やセールスがくるんじゃないの?と思われるかもしれませんが、そんなことは一切ありませんでした。