代車費用特約(レンタカー費用特約)は、交通事故で車を修理する際に役立つ特約です。とはいえ、加入する必要性はあるのでしょうか。
そこで今回は、代車費用特約の概要について取り上げながら、補償期間と補償金額、どのようなときに役立つのか、特約を使用した際に等級は下がるのか等、詳しく解説していきます。
代車費用特約(レンタカー特約)とは、契約車両にて車両保険の補償対象となる事故を起こし、修理期間中に代車費用(レンタカー費用)が必要となった場合、その費用が補償される特約です。
車両保険への加入が必須となっているケースが多く、支払い限度日額を上限として保険金が支払われます。
保険会社によって『事故・故障時代車費用特約』、『事故時レンタカー費用特約』、『代車特約』等と名称は異なりますが、補償内容は同様です。
日頃、通勤や通学などで車を使っている場合、修理している最中は不便が生じます。代車費用特約を付帯しておくと、契約する際に設定した代車クラス相当のレンタカーを借りることができるため大変便利です。
原則、車両保険の支払い対象となる事故の場合のみ補償されますが、損保ジャパン日本興亜のように、故障やトラブルにて走行不能となり、尚且つレッカーけん引された際も補償されるケースがあります。
車両保険の支払い対象となる事故とは、『自走することができない状態』、『修理している状態』、『盗難された状態』となった事故のことです。
補償範囲に関しては、保険会社ごとで若干違いがあるため、詳細を確認した上で加入するようにしましょう。
代車費用特約に加入するか迷った際は、以下の内容を参考にしてください。今回は、セゾン自動車火災の公式WEBサイトで案内されていたグラフを参考にしながら、詳しく解説していくことにします。
2017年3月末時点
セゾン自動車火災 公式WEBサイトより引用
セゾン自動車火災では、代車費用特約という名称ではなく『事故時代車費用特約』となっています。2016年3月時点のデータですが、約1割程度の方が加入しているようです。
数値からいうと、ほとんどの方が加入していないことになりますが、だからといって安易に不要と考えるのは早計だといえます。基本的に代車の対応に関しては、保険会社ごとで全く異なるものです。
保険会社指定の修理工場で修理をする場合、無料で代車を提供していることもありますが、全車を貸し出している際は無料提供されないことがあります。
また、ディーラーから車を購入した場合、サービスで代車を無料提供しているケースはあるものの、必ず借りることができるわけではないのです。
万が一に備えておくためにも、頻繁に車を使用している方は加入しておいた方が安心できます。
補償期間と補償金額の基本的な内容は、以下の表のとおりです。
補償期間 | 30日間 |
---|---|
保険金額 | 日額5,000円、7,000円、10,000円など ※保険会社によって設定額は異なる |
まず補償期間ですが、ほとんどの保険会社で30日間となっています。30日を過ぎた場合、返却しなければなりません。
30日間で修理が終わらない場合は、修理工場から代車が出されるケースもありますが、保険会社によって対応は様々です。
なお、補償期間に関する考え方は、保険会社によって2パターンに分かれます。
①と②の主な違いですが、①は事故処理が終わって車を借りた場合でも、最大30日間は補償対象となります。
一方、②の場合は事故発生日から日数計算が始まるため、事故当日からレンタカーの手配をしないと、最大30日間借りることはできません。
近年の傾向として、①を採用しているケースが目立ちますが、詳細は必ず保険会社へ確認してください。
続いて保険金額ですが、1日あたり5,000円から10,000円の範囲内となっているのが通例です。ただし、5,000円しか選択できない保険会社が散見されます。
ソニー損保のように、20,000円まで設定できるケースもありますが、そのような保険会社は稀です。
ちなみに、レンタカー費用に関してですが、保険金の範囲内で借りる場合は契約車両のクラスに準じた自動車となります。とはいえ、必ず同等クラスとなるわけではありません。
できるだけ希望に沿ったレンタカーを借りたいときは、自ら不足分を負担して借りることも可能です。
なお、保険金額の範囲内であれば実費補償されるものの、中には定額補償となっている保険会社もあるため事前に確認しておきましょう。
1つ気をつけておきたいのは、車両保険で免責金額を設定しているケースです。代車利用料(レンタカー代)が免責金額の範囲内となる場合、補償対象外となることがあります。保険会社ごとで対応は分かれるため、確認しておくようにしましょう。
レンタカー特約(代車費用特約)を付帯した場合、実際の保険料はどのくらい掛るのでしょうか。
保険会社によって違いはありますが、今回はソニー損保の見積もりツールを用いて、保険料を算出してみることにします。試算条件は、以下の表のとおりとしました。
試算条件 | |||
---|---|---|---|
車種 | ホンダステップワゴン (PR3) |
使用目的 |
日常・レジャー用 |
等級 | 6等級 |
走行距離 |
年間5,000km以下 |
年齢 | 35歳 |
年齢条件 |
30歳以上補償 |
運転者 | 本人限定 |
対人・対物制限 |
無制限 |
免許の色 | ブルー |
人身傷害 |
3,000万円 (搭乗中のみ補償) |
所有者 | 契約者と同じ |
一般車両保険 |
305万円 免責1回:5万 免責2回以降:10万 |
ソニー損保の場合、5,000円から20,000円の間で設定額が5パターン用意されています。
5つのパターンで保険料を算出した結果、以下の表の通りとなりました。
保険金額(日額) | 年間保険料 |
---|---|
5,000円 |
7,570円 |
7,000円 |
9,900円 |
10,000円 |
14,150円 |
15,000円 |
21,220円 |
20,000円 |
28,300円 |
上記のとおり、年間保険料に幅があることが分かります。最も低い保険金額に設定したとしても、年間7,570円掛ることを考えると、今回のケースにおいて保険料が安いとはいえません。
続いて、等級による保険料の違いはあるのか確認してみることにします。試算条件の等級を11等級へ変更し、年間保険料を算出した結果は以下の表のとおりです。
保険金額(日額) | 年間保険料 |
---|---|
5,000円 |
4,490円 |
7,000円 |
5,880円 |
10,000円 |
8,400円 |
15,000円 |
12,600円 |
20,000円 |
16,800円 |
先ほどと比較すると、保険金額が5,000円の場合は3,080円。保険金額が20,000円の場合は11,500円保険料が安くなっています。
なお、等級以外にも、年齢、免許証の色を変更して検証したところ、年齢が高く免許証の色がゴールドの方ほど、保険料は安くなることが分かりました。
以上のことから、代車費用特約の保険料は安いとは言えないものの、契約条件によって保険料を抑えることはできそうです。
最終的には見積もり結果を比較しながら検討することになりますが、今回の検証結果からも分かるとおり、契約条件によって思っていたほど保険料が高くならないことがあります。
そのため、実際に見積もりを出して保険料を確認し、代車費用特約を付帯するか検討してください。
代車費用特約に加入する上で、注意しておきたポイントは以下の通りです。
代車として使用するレンタカーの手配は、保険会社の事故センター等が行うものです。自ら手配してしまうと、補償対象外となることがあるため注意しましょう。
車両保険加入時に免責を設定しており、修理代が免責額内に収まる場合は代車費用特約を使うことができないケースがあります。
代車費用特約は、走行不能となった際に適用される特約です。その他、修理している状態や盗難された状態のときも適用されます。ようするに、自走可能な場合は補償対象外となるのです。
たとえば、地震・噴火・津波によって生じた損害や、無免許運転・酒気帯び運転等で生じた損害など、補償対象外となる条件が設定されています。
保険会社によって、事故発生当日は補償対象外となることがあります。
事故発生当日からレンタカーを借りたい場合は、対応している保険会社へ加入するか、事故発生当日のみロードサービスや車両事故付随費用補償特約を利用するしかありません。
ロードサービスの代車提供サービスは、事故直後の移動手段としてレンタカーを借りる際に利用できるものです。日額1万円までとなっているケースが多く、あくまでも一時的にレンタカーを利用したい場合に限定されます。
一方、代車費用特約の場合、最大30日間レンタカーを借りることができる他、保険会社によって事故当日は適用されないことがあるものです。
つまり、ロードサービスの代車提供サービスと代車費用特約の違いは、利用日数・利用条件にあります。
事故時のみレンタカーを使いたい場合は、ロードサービスで十分ですが、修理期間中ほぼ毎日車を使うのであれば、代車費用特約を付帯する必要があるのです。
車両保険とレンタカー特約を同時に使用するケースが多いため、自動車保険更新後に3等級ダウン・1等級ダウンとなることがほとんどです。
また、3等級ダウンの場合は事故有係数適用期間が3年、1等級ダウン事故の場合は事故有係数適用期間が1年となり、適用期間中は保険料の割引率が低くなります。
一方、レンタカー特約(代車特約)のみ使用した際の等級ですが、ノーカウント事故扱いとなるのが通例です。そのため、保険更新時に通常どおり1つ等級が上がることになります。
ただし、最終的には保険会社の判断によって異なるため、レンタカー特約のみ使用する場合は、等級の扱いに関して保険会社へ確認しておくようにしましょう。
事故により修理が必要となった際、車を使うことができないと不便が生じるものです。つまり代車費用特約は、通勤や通学で車を使う方、もしくは頻繁に車を使っている方向けの特約だといえます。
普段あまり車に乗る機会がない方、修理中は交通機関を使って移動することができる方、複数台の車を所有している方等は、代車費用特約を付帯しなくても問題はありません。
ようするに、修理中に不便が生じると困る場合は、代車費用特約をつけるようにしてください。
下記にレンタカー特約(代車費用特約)が必要な人、不要な人を表にまとめました。加入を検討している方は、参考にしてください。
レンタカー特約が必要な人 | レンタカー特約が不要な人 |
---|---|
・通勤、通学などで毎日車を使用している ・毎日車を使うことはないが、車がないと困る ・好みのグレードの車を使用したい ・交通機関が整備されておらず車がないと不便 ・特殊車両(福祉車両)を使用している ・ディーラーや修理工場から代車が出るとは限らない |
・車を複数台所有している ・代車が出ることが確定している ・車両保険に加入していない ・あまり車を使うことがない ・修理中は交通機関で代替が可能 ・保険料を抑えたい |
ようするに、あまり自動車を運転する機会がなく、自動車保険にて代車費用を補償してもらわなくても問題がない方は、代車費用特約を付帯する必要はありません。
一方、毎日車を使う方や、車がないと生活に支障をきたす方は、付帯することを検討しましょう。
私は年間で57,230円の保険料を支払っていましたが、保険スクエアbang!という一括見積もりサイトを利用して、保険料を20,630円まで安くすることに成功しました。
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