軽自動車の場合、車両保険に加入する必要はないといった声を耳にすることがあります。とはいえ、軽自動車に車両保険はいらないものなのでしょうか。
そこで今回は、軽自動車の車両保険契約に焦点を当てながら、新車・中古車の車両保険の必要性、軽自動車の車両保険料の相場など、詳しく解説していきます。
軽自動車の場合、車両保険に加入した方が良いケースと、加入する必要性がないケースに分かれます。そのため、いくつかのポイントを抑えた上で、車両保険の加入を検討するのが良いでしょう。
ここでは、車両保険の加入率、新車と中古車で車両保険の必要性は変わるのか、車両保険の必要性を判断するポイントについて詳しく解説していきます。
3つの統計データを参考にしながら、軽自動車の車両保険の加入率についてみていくことにします。まず1つ目の表をご覧ください。こちらは、損害保険料率算出機構が発表した統計データです。
損害保険料率算出機構とは、参考料率などのデータを保険会社に提供している団体のことを指します。保険会社は、これらのデータを基に保険料を算出しています。
2015年度 | 2018年度 | |
---|---|---|
軽自動車 | 45.7% |
46.0% |
普通車 | 59.8% |
59.9% |
参照:損害保険料率算出機構「2016年度 自動車保険の概況」
今回は2015年度と2016年度の車両保険加入率をピックアップしました。ご覧のとおり、軽自動車の加入率は50%を切っていることが分かります。
2016年度になって、やや加入率はアップしていますが、それでも普通車の加入率よりも低めです。
参照:セゾン自動車火災 公式WEBサイト(2016年9月末時点)
続いて、2つ目の図をご覧ください。こちらは、セゾン自動車火災が公式WEBサイト上で公開している「軽自動車の車両保険付帯率」です。
62%の方が加入していることが分かります。ちなみにセゾン自動車火災は、40代や50代の年齢層をターゲットとした保険会社です。
などの理由が、加入率の高さに繋がっているといえそうです。とはいえ、それでも約4割ちかくの方が、車両保険に加入していない結果となりました。
最後に、3つ目のグラフをご覧ください。保険比較サイト「保険スクエアbang!」が発表した、車種別の車両保険加入率をまとめたものです。
参照:保険スクエアbang!自動車保険利用者データ
(2015年1月1日~3月31日)
軽自動車の加入率は、50.6%となっています。一方、普通自動車(国産)は58.8%です。1つ目に取り上げた、損害保険料率算出機構の統計結果と、ほぼ同じ数値であることが分かります。
以上のことから、2つのことがいえそうです。
軽自動車の場合、新車と中古車で車両保険の必要性は変わるものです。それぞれ詳しく見ていくことにしましょう。
新車で軽自動車を購入した場合、車両保険の一般型に加入することをお勧めします。近年の軽自動車は普通車に劣らない性能となっており、壊れた際の修理費用が高くつきやすいため、広くカバーしておいた方が安心できるからです。
また、以下のケースに該当する方は、車両保険に加入することで経済的負担を軽減することができます。
など
なお、新車で購入してから1年~3年までの間は、車両保険の一般型に加入しておくことをお勧めします。車両保険のエコノミー型だと、当て逃げや自損事故の補償がないからです。
中古車の場合は、補償限度額を確認した上で車両保険に加入することをお勧めします。判断基準の一例は以下のとおりです。
軽自動車の車両保険の必要性を判断するポイントは、「年間保険料」「車両保険の補償上限額」「修理時に自腹で対応できる金額」の3つです。
車両保険をつけると、年間の保険料は高くなります。年間の保険料が高かったとしても、車両保険の補償上限額が高額であれば加入しておいた方が安心です。
しかし、補償額が低いのであれば、いつまでも高額な保険料を支払い続ける意味がありません。保険料が安いエコノミー型に切り替えたり、状況に合わせて車両保険を外すようにしましょう。
型式が古い車の場合、補償額は低くなってしまいます。そのため、事故で車両保険を使ったとしても、支払われる保険金は少額です。契約時に上限額を確認し、20万円前後までしか設定できないのであれば、車両保険を外しても問題はありません。
事故で車両保険を使うと3等級ダウン事故扱いとなるケースが多く、事故翌年の契約から3年のあいだ保険料が割高となります。
そのため、可能な限り車両保険を使わずに自腹で修理をした方が、トータルコストを抑えることができるのです。
以上の理由から、どのくらいの金額まで自己負担で修理できるのか明確にし、その金額に合わせて車両保険に加入することをお勧めします。
この項では、軽自動車の任意保険における車両保険平均相場について、詳しく解説していきます。
そんぽ24のシミュレーションツールを利用して、保険料を算出してみました。見積もり条件は以下の表の通りです。
試算条件 | |
---|---|
・年齢40歳 ・事故有係数:0年 ・免許証:ブルー ・車名:ダイハツ タント(LA610S) ・対人、対物賠償:無制限 ・人身傷害:一般3,000万円 ・無保険車傷害:2億円 |
・車両保険:付帯時の補償額185万円 ・免責:5-10万円 ・運転者の限定:本人配偶者限定 ・対物超過修理費用補償特約:50万円 ・他社運転危険補償特約:あり ・年間走行距離:4,000~7,999km |
今回は6等級・20等級に区分し、年齢条件ごとの保険料を算出しました。まずは以下の表をご覧ください。
年齢区分 | 車両保険なし | 車両保険 (車対車+A) |
車両保険 (一般) |
---|---|---|---|
年齢を問わず補償 | 198,210円 |
312,800円 |
414,600円 |
21歳以上補償 | 95,410円 |
148,130円 |
195,320円 |
26歳以上補償 | 54,280円 |
84,720円 |
109,600円 |
35歳以上補償 | 52,650円 |
80,270円 |
107,760円 |
年齢区分 | 車両保険なし | 車両保険 (車対車+A) |
車両保険 (一般) |
---|---|---|---|
年齢を問わず補償 | 56,140円 |
89,960円 |
119,510円 |
21歳以上補償 | 33,590円 |
54,220円 |
70,130円 |
26歳以上補償 | 21,620円 |
35,110円 |
46,440円 |
35歳以上補償 | 20,980円 |
34,770円 |
44,300円 |
一般的に、軽自動車の保険料は安いといわれています。しかし、上図からも分かるとおり、軽自動車の保険料は極端に安いわけではありません。詳細に関しては、次項で詳しく解説します。
なお、見積もりの条件が変わると保険料は変動しますので、上図の相場は参考程度に留めておくことをお勧めします。
そんぽ24のシミュレーターを利用し、車両保険に加入した際の軽自動車と普通車の保険料を算出してみました。まずは、下記の表をご覧ください。
車両タイプ | 想定車種 | 年齢条件 | 車両保険なし | 車両保険 (車対車+A) |
車両保険 (一般) |
---|---|---|---|---|---|
600cc以下 | アルト | 年齢を問わず補償 |
63,010円 |
108,710円 |
160,790円 |
21歳以上補償 |
37,090円 |
65,080円 |
95,760円 |
||
26歳以上補償 |
24,200円 |
43,940円 |
64,850円 |
||
35歳以上補償 |
22,720円 |
41,850円 |
62,060円 |
||
601cc~1500cc | フィット | 年齢を問わず補償 |
71,350円 |
121,280円 |
193,830円 |
21歳以上補償 |
41,730円 |
71,830円 |
113,860円 |
||
26歳以上補償 |
26,750円 |
47,690円 |
75,720円 |
||
35歳以上補償 |
25,040円 |
45,320円 |
72,340円 |
||
1501cc~2000cc | プリウス | 年齢を問わず補償 |
71,780円 |
144,640円 |
244,510円 |
21歳以上補償 |
42,050円 |
85,180円 |
142,650円 |
||
26歳以上補償 |
27,040円 |
56,490円 |
94,510円 |
||
35歳以上補償 |
25,330円 |
53,770円 |
90,420円 |
||
2001cc~2500cc | レガシィ | 年齢を問わず補償 |
63,540円 |
136,620円 |
236,910円 |
21歳以上補償 |
37,200円 |
80,330円 |
137,960円 |
||
26歳以上補償 |
23,770円 |
53,130円 |
91,170円 |
||
35歳以上補償 |
22,300円 |
50,640円 |
87,300円 |
||
2501cc以下 | エルグランド | 年齢を問わず補償 |
76,470円 |
170,460円 |
296,530円 |
21歳以上補償 |
44,690円 |
99,550円 |
171,670円 |
||
26歳以上補償 |
28,700円 |
65,510円 |
112,860円 |
||
35歳以上補償 |
26,840円 |
62,350円 |
107,940円 |
保険料を算出したところ、全体を通して660cc以下(軽自動車)の保険料が最も安い結果となりました。ただし、軽自動車の保険料が特別安いかというと、そこまでではないといえそうです。
なお、軽自動車の保険料が普通車よりも安い理由は、「車両料率クラス」が適用されていないことにあります。車両料率クラスとは、車の型式別に保険料を区分する仕組みのことです。
事故リスクが高い型式は保険料が高く、逆に事故リスクが低い型式は保険料が安くなります。2017年9月現在、車両料率クラスが適用されるのは「自家用普通乗用車・自家用小型乗用車」のみで、軽自動車は対象外です。
しかし2018年度以降、軽自動車にも車両料率クラスが導入される予定となっています。そのため、軽自動車の型式によっては、保険料が若干値上がりしそうです。
軽自動車の保険料を安く抑えるコツを3つピックアップしました。概要を以下にまとめましたので、参考にしてください。
すでに解説してきたとおり、車両保険には一般型とエコノミー型の2つのプランがあります。新車で軽自動車を購入した際は、一般型に加入することをお勧めしますが、購入から4年目あたりを目処にエコノミー型への変更を検討しましょう。
いつまでも一般型の車両保険に加入していると、軽自動車の保険料を月々たくさん支払っている割には、あまり補償額が高くないといった状況を招いてしまいます。
また保険会社によっては、複数のエコノミー型のプランを提供していることがあり、更に補償範囲を狭くすることで保険料を節約することが可能です。以上、補償内容や補償額の上限を確認した上で、プランの変更を検討してください。
毎年同じ保険会社と契約をしている方は、契約内容を見直さずにそのまま更新してしまいがちです。そのため、更新時に契約内容を見直すことをお勧めします。たとえば、以下のようなケースが考えられます。
⇒運転者限定範囲を本人限定に変更することで、保険料を安くすることができる。
⇒年齢条件を夫・妻のいずれか年齢が低い方に合わせることで、保険料を安くすることができる。
上記はほんの一例ですが、自分で判断することができない場合は、保険会社に問い合わせてみましょう。契約内容の見直し方について、細かくアドバイスをもらうことができます。
これまでも何度か触れてきましたが、車両保険の補償額を定期的に確認し、補償額がある程度まで下がってきたら車両保険を外すことを検討しましょう。車両保険を外すだけで、軽自動車の保険料を半分以下に抑えることができます。
保険料の節約を優先して、車両保険を付帯しないことは避けたいものですが、年間保険料、補償上限額、自己負担できる修理費用などのバランスをチェックしながら、車両保険を有効活用しましょう。
私は年間で57,230円の保険料を支払っていましたが、保険スクエアbang!という一括見積もりサイトを利用して、保険料を20,630円まで安くすることに成功しました。
保険スクエアbang!は、見積もり結果がブラウザ上に表示されるので、すぐに保険料を知りたい方にはかなり便利なサービスだと思います。
ちなみに、難しいことは一切していません。5分くらいで出来てしまいました。見積もりサービスと聞くと、資料が大量に送られてくるんじゃないの?電話などの勧誘やセールスがくるんじゃないの?と思われるかもしれませんが、そんなことは一切ありませんでした。