自然災害によって自動車に損害が生じた場合、車両保険を使って修理できるケースがあります。ただし、地震、津波、噴火などの一部の自然災害は補償対象外です。雹(ひょう)による損害の場合は、車両保険の補償対象となるのでしょうか。
そこで今回は、車両保険による雹害の補償について取り上げながら、補償対象の事例、車両保険を使ったら等級はどうなるのか、雹害による車の修理費用はどのくらいなのかなど、詳しく解説していきます。
雹の被害は、「飛来中の他物との衝突による損害」に該当します。そのため、雹で車がへこむなどの損害が生じた場合、車両保険を使って修理をすることは可能です。
ただし、加入している車両保険のタイプによって、補償されないことがあるため注意しましょう。
雹(ひょう)とは、初夏の時期に発生した積乱雲から降ってくる、直径5mm以上の氷の塊のことです。5mm未満の氷の塊は、霰(あられ)と呼ばれています。
雹は5月や10月に最も降りやすいといわれており、自動車のボンネット、窓ガラスなどに当たった場合、大きな被害に発展することが少なくありません。雹が人に当たった場合は、大ケガをするだけではなく死亡するケースもあります。
車両保険のタイプとは、「一般型」「エコノミー型」の2つのことです。名称の呼び方は、保険会社によって異なります。
「エコノミータイプ」は「車対車+A」「車対車」など、保険会社によって更に細分化されていることがあり、補償範囲が狭くなるほど保険料は安くなる仕組みです。
雹の被害で車両保険を使う際、カバーすることができるのは「一般型」「エコノミー型(車対車+A)」の2タイプのみとなっています。
「車対車」のように補償範囲が車同士の事故に限定されている場合、雹害による車の傷などの損害はカバーされません。
なお、雹害で車両保険を使うことはできるのか、公式WEBサイト上で詳しく案内をしていた保険会社は下記の表の通りです。
保険会社 | 車両保険 一般型 |
車両保険 エコノミー型 |
---|---|---|
ソニー損保 | ○ |
○ |
セゾン自動車火災 | ○ |
○ |
イーデザイン損保 | ○ |
○ |
アクサダイレクト | ○ |
○ |
上記の表に登場しなかった保険会社でも、雹害による損傷を車両保険でカバーできる可能性はあります。直接、保険会社に問い合わせて確認しておきましょう。
雹害の補償対象となる事例、補償対象とならない事例を以下にまとめました。参考にしてください。
など
など
雹で車に傷がついた場合の修理代は、損傷の状況・修理を依頼する業者の修理方針によって変動します。
そもそも、雹が降ったことで車が損傷した場合、損傷の範囲は広範囲となることから、かなりの修理費用となるケースがほとんどです。一般的には、以下のとおりとなります。
・比較的軽い損害:角度を変えて見ない限り凹みが分からない程度
⇒修理費用はそこまで高くはならない
・深刻な被害:ボディ、ボンネット、ルーフパネルなど全体的に凹みが見られる
⇒修理費用が高額になりやすい
雹による損傷で修理をする場合、修理方法は大体決まっており、大きく分けると2つに分かれます。それぞれの概要と修理費用についてまとめましたので、参考にしてください。
ボンネットとルーフパネルは、損傷具合によって交換します。交換するほど損傷が酷くない場合、板金塗装で修理をするケースが大半です。
また、側面パネル(ドアやフェンダーなど)は板金塗装で修理します。
ちなみに、広範囲に亘って凹みが酷い場合、全塗装に近い作業となることが少なくありません。そのため、どこまで修理をするのかによって、修理代は大きく変わってきます。
それから、もう1つ抑えておきたいのは、ルーフパネルの交換についてです。
ボンネットやトランクとは異なり、ルーフパネルはボルトで取り付けられているものではありません。交換する際は、切断と溶接が必要です。
ルーフパネルを交換すると、見た目は以前のとおり綺麗になりますが、安全面で問題が出てくる他、「事故歴車(修復歴車)」となります。
買取り査定の際、車の価値が大幅に下がることになるため、よほどのことが無い限りルーフパネルの交換は避けた方が無難です。
ルーフパネルのへこみの修理(ディーラーの場合):40,000円~80,000円程度
ルーフパネルのへこみの修理板金屋の場合):30.000から60,000円程度
ルーフパネルの交換:10万~100万程度(車種や車のサイズによって異なる)
なお、カーコンビニ倶楽部で提供している「キズ・へこみ見積りシミュレーション」ツールを利用して、5パターンの修理相場を算出してみました。参考にしてください。
項目 | ケース1 | ケース2 | ケース3 | ケース4 | ケース5 |
---|---|---|---|---|---|
キズ・へこみの場所 | ボンネット |
ルーフ |
フロントバンパー |
フロントドア |
リアドア |
キズ・へこみの種類 | へこみ |
へこみ |
へこみ |
へこみ |
へこみ |
車体色 | 白 |
黒 |
青 |
青 |
赤 |
塗装の種類 | パール |
メタリック |
その他(ソリッド) |
パール |
メタリック |
キズの大きさ | 10cm×10cmくらい | 10cm×30cmくらい | 10cm×20cmくらい | 20cm×20cmくらい | 10cm×30cmくらい |
車体種別 | 国産車 |
国産車 |
国産車 |
輸入車 |
輸入車 |
概算修理費用 | 45,000~66,000円 | 47,500~62,000円 | 13,000~27,000円 | 45,000~60,000円 | 33,000~48,750円 |
デントリペアと呼ばれる修理方法があります。雹による被害が多いアメリカで発達した技術で、車の価値を下げずに凹みを修理することが可能です。
塗装面に大きな傷があったり、物理的に伸びすぎている場合は、板金塗装で修理するしかありませんが、損傷がそこまで酷くないときはデントリペアが適しています。
修理費用が板金塗装の半額近くになるケースが多く、車両保険を使って雹(ひょう)による車のキズなどを修理することも可能です。
ただし、日本の場合はデントリペアの熟練技術者が少なく、デントリペアによる修理に対応している業者はあまり多くありません。
とはいえ、一部のディーラー、自動車販売店、板金塗装業者、修理業者などでデントリペア修理に対応しているケースはあるため、事前に確認しておくようにしましょう。
1円玉程度(直径2㎝)の損傷:8,000円~22,000円程度
10円玉程度(直径2.3㎝)の損傷:12,000円~27,000円程度
500円玉程度(直径2.6㎝)の損傷:15,000円以上
※ドア・フェンダー、ボンネット・トランク、アルミパネルごとに料金が決まっているケースや、凹みの大きさによって料金が決まっているケースなど、価格設定は業者によって様々です。
雹による損害は、「飛来中または落下中の他物との衝突」に該当します。
そのため、車両保険を使って修理をした場合、1等級ダウン事故扱いとなります。翌年の等級が1つダウンし、事故有係数適用期間が1年加算されるのです。
事故有係数が1年間適用されると、翌年の年間保険料の割引率は20%ほど下がるため(等級によって異なる)、保険料がどのくらい値上がりするのか事前に確認しておきましょう。
一般的に、1万円から3万円の範囲で年間保険料が上がるケースが目立ちます。
車両保険の限度額を上限として、実際に掛った修理代金から免責額を引いた金額が車両保険金として支払われます。
そのため、「車両保険の限度額」「設定している免責額」「修理費用」によって、支払われる車両保険金の額は異なるものです。
ちなみに、車両保険の限度額は「協定保険価額」によって決まります。協定保険価額とは、保険契約締結時の契約車両の市場価値のことです。
契約車両と「用途、車種、車名、型式、仕様、初度登録年月(初度検査年月)」が同一の自動車の市場販売価格相当額が、協定保険価額となります。
協定保険価額は、保険会社が設定することになるため、自分で自由に決めることができません。
また、車の市場価値は年々下がっていきますので、車両保険の限度額も徐々に下がっていきます。
ここで2つの事例を用いながら、実際に支払われる車両保険金額について見ていくことにしましょう。
修理費用50万円から免責額の5万円を差し引いた、45万円が車両保険金として支払われます。
修理費用が車両保険金の上限を上回っているため、全損扱いとなります。免責額の10万円は差し引かれずに、100万円が車両保険金として支払われます。
※全損とは、以下3つのうちいずれかに該当する損害のことを指します。今回のケースは①に該当するため、全損扱いとなりました。
私は年間で57,230円の保険料を支払っていましたが、保険スクエアbang!という一括見積もりサイトを利用して、保険料を20,630円まで安くすることに成功しました。
保険スクエアbang!は、見積もり結果がブラウザ上に表示されるので、すぐに保険料を知りたい方にはかなり便利なサービスだと思います。
ちなみに、難しいことは一切していません。5分くらいで出来てしまいました。見積もりサービスと聞くと、資料が大量に送られてくるんじゃないの?電話などの勧誘やセールスがくるんじゃないの?と思われるかもしれませんが、そんなことは一切ありませんでした。