自動車保険には、様々な特約があります。そのため、自分にとって必要な特約のみ、付帯することが重要です。
個人賠償責任特約は、相手に損害を与えてしまった際に補償される特約ですが、加入する必要はあるのでしょうか。
そこで今回は、個人賠償責任特約の加入方法、補償対象となる事故のケース、付帯させる際の注意点などなどの概要について解説しながら、必要性について詳しくみていきたいと思います。
個人賠償責任保険(特約)とは、日常生活で起こした賠償事故の補償をしてくれる特約のことで、自動車以外の事故を起こし、他人にケガを負わせたり、他人の財物を壊したときに補償されます。自分のケガなどは補償されません。
名称は『日常生活賠償特約』、『くらしの損害賠償特約』、『個人賠償責任補償特約』、『個人賠償責任保険』等と呼ばれており、基本的な内容は同じです。
国内で起した日常生活の事故だけではなく、海外で起きた事故も補償されることがあります。
また、個人賠償責任特約は、火災保険や傷害保険等にも付帯されているため、自動車保険限定の特約ではありません。
個人賠償責任保険は、自転車で事故を起こし賠償責任を負った際に役立ちます。保険会社によって取扱の有無は異なりますが、自転車の事故も補償範囲に含まれている場合は大変便利です。
自転車事故は年々減少傾向にあるものの、警視庁のデータによると平成28年の自転車事故発生件数は、全国で93,425件でした。全国で発生した交通事故の約18%にあたります。
また負傷者は89,547名、死亡者は509名となっており、自転車事故に遭ったほとんどの方が負傷していることが分かります。そのため、頻繁に自転車を利用する方は、事故に備えて保険に加入しておいた方が得策なのです。
自転車向けの保険も存在しますが、保険料が年間3,000円~4,000円前後と安くありません。家族全員を補償範囲に指定すると、年間1万円を越えることもあります。
その点、自転車事故の補償も含まれている個人賠償責任特約であれば、年間1,500円から2,000円で済むため大変お得です。
ちなみに、セゾン自動車火災のように、自転車の事故のみ別途特約が用意されているケースもあります。そのため、個人賠償責任特約をつける際は、必ず補償範囲を確認してください。
自動車保険経由で個人賠償責任特約へ加入する場合は、自動付帯されるケースと、契約が必要となるケースに分かれます。契約内容を確認し、未加入の場合は加入手続きを行いましょう。
また、個人賠償責任保険としてクレジットカードに付帯されていたり、火災保険・傷害保険・借家人賠償責任・ペット保険の特約として提供されていることもあります。
自動車保険以外の保険に加入している方は、保険証券の内容を確認し、必要に応じて個人賠償責任特約へ加入してください。
ここでは、個人賠償責任特約で補償される事故、補償される方の範囲、補償されない事故について詳しくみていくことにします。
補償される事故の一例をピックアップしました。保険会社によって補償範囲が異なるため、詳細は各保険会社へ問い合わせてください。
個人賠償責任特約にて補償される方は以下の通りです。
③の同居の親族ですが、同居していることのみを条件としているケースと、生計を共にしており尚且つ同居していることを条件としているケースに分かれます。
また、別居の未婚の子については、実家を離れて大学に通っており、仕送りを受けているケースなどのことです。なお『未婚』とは、法律上、一度も婚姻歴がないことを指します。
上記の内容からも分かるとおり、補償される方の範囲が広いため、家族1契約で十分です。1名ずつ個人賠償責任特約へ加入する必要はありません。
補償されないケースは、保険会社によって若干異なります。
ここでは、東京海上日動、セゾン自動車火災、チューリッヒの公式WEBサイトを確認し、要点を表にまとめました。
東京海上日動火災 | ①航空機、船舶、車両、銃器の所有・使用、管理に起因する損害賠償責任 ②借りた財物を壊したことによる、その持ち主に対する損害賠償責任 など |
---|---|
セゾン自動車火災 | ①契約者、被保険者などの故意によって生じた賠償損害 ②借りた物・預かった物に対して生じた賠償損害 ③被保険者の職務遂行に直接起因する賠償損害 ④被保険者の同居の親族に対する賠償損害 ⑤航空機、船舶、車両ほ所有、使用または管理に起因する賠償損害 など |
チューリッヒ | ①職務、業務に起因する損害賠償責任 ②店舗など居住用以外の不動産に起因する賠償責任 ③受託物に対する賠償責任 ④車両の所有・使用・管理に起因する賠償責任等 |
上記3社の公式WEBサイトより引用
保険会社ごとの個人賠償責任補償特約の保険料について、詳しくみていくことにしましょう。個人賠償責任補償特約の保険料は、年齢条件、等級、免許証の色などの影響を受けない特約です。ただし、契約の内容によって若干保険料が異なることがあります。
そのため、以下の試算条件を用いて、各社の見積もりツールから個人賠償責任補償特約の保険料を算出しました。
試算条件 | |||
---|---|---|---|
車種 | ステップワゴン(RK1) |
使用目的 | 日常・レジャー使用 |
等級 | 13等級 |
使用地域 | 東京都 |
運転者 | 夫婦限定 |
初度登録年月 | 2012年1月 |
免許の色 | ブルー |
対人・対物制限 | 無制限 |
年齢条件 | 30歳以上 ※保険会社によって35歳以上 |
人身傷害 | 5,000万円 |
年齢 | 36歳 |
車両保険 | なし |
保険会社 | 補償上限額 | 示談代行 | 年間保険料 |
---|---|---|---|
ソニー損保 | 1億円 |
○ |
1,200万円 |
チューリッヒ | 1億円 5,000万円 3,000万円 |
× ※アドバイスはしてもらえる |
- |
セゾン自動車火災 | 無制限 |
○ |
1,620万円 |
アクサダイレクト | 3,000万円 |
○ |
- |
東京海上日動火災 | 国内:無制限 国外:1億円 |
○(国内限定) |
1,530万円 |
損保ジャパン日本興亜 | 国内:無制限 国外:1億円 |
○(国内限定) |
2,100万円 |
三井住友海上火災 | 国内:無制限 |
○ |
- |
あいおいニッセイ同和 | 国内:1億円 国外:1億円 |
○(国内限定) |
1,500万円 ※一般契約一時払いの場合 |
共栄火災 | 国内:2億円 |
○ |
1,500万円 ※一般契約一時払いの場合 |
上記3つのポイントを簡単に補足します。まず①ですが、チューリッヒ以外の保険会社は示談交渉サービスが付いています。ただし、国外での事故の場合は示談交渉がつきません。
②の保険料については、おおよそ1,200円から2,000円の範囲内に収まりそうです。
なお、あいおいニッセイ同和や共栄火災のように、保険料の支払い方によって個人賠償責任補償特約の保険料が若干変わることがあります。
③の補償上限額ですが、個人賠償責任保険の場合は無制限か1億円となっているケースがほとんどです。例外としてアクサダイレクトは3,000万円でしたが、このようなケースは多くありません。
なお、上記の図の中では登場しなかった、イーデザイン損保、SBI損保、三井ダイレクト損保については、個人賠償責任補償特約を扱っていませんでした。
ただし、SBI損保と三井ダイレクト損保では、自転車事故を補償する特約を提供しています。自転車事故限定となってしまいますが、必要に応じて加入を検討してください。
個人賠償責任補償特約を付帯させる際は、以下の4点に注意しましょう。要点をまとめましたので、参考にしてください。
示談交渉サービスがついていないと、被害者や被害者の保険会社と直接やりとりをすることになります。事故直後に自ら対応することは様々点で苦労を伴うため、示談交渉サービスが付いていた方が安心です。
ただし国外の事故、個人賠償責任が法律上生じない事故など、示談交渉サービスが使えないケースがあります。保険会社によって条件が異なるため、事前に確認しておきましょう。
個人賠償責任補償特約は、重複しやすい特約です。自動車保険の他に傷害保険や火災保険などへ加入している方は、契約内容を見直しましょう。
重複している場合は、どちらか片方の特約しか利用できません。また保険料が無駄になるため、早めに片方を解約するようにしてください。
前項で取り上げた通り、保険会社によって個人賠償責任補償特約の補償内容は異なります。たとえば、国内・国外共に補償していたり、補償上限額や補償範囲が異なったりなど様々です。
公式WEBサイトで詳しく案内されているケースがほとんどですが、細かな点まで確認したい場合は直接保険会社へ問い合わせるようにしましょう。
個人賠償責任に関する補償は、自動車保険をはじめとした保険商品や、クレジットカードの簡易保険のプランなどに特約として付帯されています。そのため、保険商品として単独で販売されているケースはほぼありません。
JCBカードが提供している日常生活賠償プランのように、個人賠償責任保険に単体で加入できることはありますが、非常に稀なケースです。また、JCBカードの日常生活賠償プランの場合、クレジットカードを作る必要があります。
以上のことから、賠償責任を負ったときのリスクに備えておきたい方は、自動車保険、傷害保険、火災保険などの個人賠償責任補償特約の内容を比較した上で、ベストな加入先を検討してください。
結論からいいますと、個人賠償責任特約を利用しても、更新時に等級が下がることはありません。
なぜなら、個人賠償責任特約を利用した際の保険事故は『ノーカウント事故』に該当するからです。
また、個人賠償責任特約を利用することによって、保険料が上がることもありません。
これまで解説してきたとおり、個人賠償責任特約は相手に損害を与えてしまった際に補償される特約です。加入しておいて、損をすることはありません。
近年は日常生活で起きた事故の損害賠償額が高くなっており、特に自転車事故の場合は深刻な事態に陥ることがあります。
たとえば、平成20年6月に東京地方裁判所が下した判決では、9,266万円の賠償額が命じられました。また別の自転車事故では、9,521万円の賠償額が命じられた判例もあります。
1つ目の自転車事故の加害者は高校生。2つ目の自転車事故の加害者は小学生です。このことからも分かる通り、年齢に関係なく相手に損害を与えた際のリスクに備えておいた方が安心できます。
特にお子さんが小さい方や、毎日自転車で通学しているお子さんがいる方は、いつ何が起こるか予測できないものです。おのずと個人賠償責任保険の必要性は高くなるため、加入しておくことをお勧めします。
年間1,000円から2,000円程度でリスクに備えることができるため、家計への影響を勘敢えても、負担となる金額ではありません。
現在の契約状況を確認し、個人賠償責任特約が付帯されているかチェックしておきましょう。
私は年間で57,230円の保険料を支払っていましたが、保険スクエアbang!という一括見積もりサイトを利用して、保険料を20,630円まで安くすることに成功しました。
保険スクエアbang!は、見積もり結果がブラウザ上に表示されるので、すぐに保険料を知りたい方にはかなり便利なサービスだと思います。
ちなみに、難しいことは一切していません。5分くらいで出来てしまいました。見積もりサービスと聞くと、資料が大量に送られてくるんじゃないの?電話などの勧誘やセールスがくるんじゃないの?と思われるかもしれませんが、そんなことは一切ありませんでした。