車両保険は「一般型」「エコノミー型」(※1)のどちらも、一部の自然災害の補償は可能となっていますが、地震や津波、噴火の被害で契約車両が損害を受けた場合、補償を受けることはできません。
しかし特約であれば、地震・津波・噴火で損害を受けた場合に、補償されることがあります。
そこで今回は、地震・津波・噴火による損害を、補償してくれる特約について取り上げながら、車両保険で補償される自然災害の範囲についてや、なぜ車両保険で地震・津波・噴火の損害は補償していないのかなど、詳しく解説していきます。
※1 エコノミー型の補償内容を「車対車」の事故だけに限定したタイプの場合、自然災害による損害も補償してもらうことはできません。
ちなみに、一部の自然災害とは、台風、高潮、洪水、竜巻、大雪、ひょうなどが該当します。
地震・津波・噴火の損害が、車両保険で補償されない一番の理由は、被害の状況が自動事故の範疇を大きく越えることが多く、被害規模を算定することが難しいからです。たとえば、地震で車が壊れたら、分損ではなく全損となるケースが目立ちます。
また、被害規模が甚大になりやすく、保険会社が補償できる範疇を越えてしまいやすいことも大きく関係しています。
そのため、地震・噴火・津波によって生じた、事故・損害・傷害に対する補償は、あらかじめ対象外と決めている保険会社が大半なのです。
地震・津波・噴火がきっかけで発生した「交通事故」も、車両保険では補償されません。厳密にいうと、車両保険だけに限らず、対人賠償保険、対物賠償保険、人身傷害補償保険、搭乗者傷害保険も補償されないことになっています。
理由は、先ほど説明した車両保険の場合と同様です。被害が甚大であるため、保険会社で補償しきれないことが大きく関係しています。なお、地震・津波・噴火起因の交通事故とは、以下のようなケースが該当します。
など
ちなみに、実際に保険を使う際は、自己判断せずに必ず保険会社へ連絡をしてください。個々の事故ケースによって判断されるため、自動車保険が使えることもあります。
車両保険を使って、地震・津波・噴火被害の補償を受けることはできませんが、1つだけ方法があります。地震・津波・噴火でも補償される特約を付帯するのです。
2011年3月11日に発生した東日本大震災の際、津波被害により多くの車が損害を受けました。そのときの教訓を踏まえた上で、2012年1月に登場したのが、地震・噴火・津波車両全損時一時金特約です。
アクサダイレクトのように、「地震・噴火・津波危険『車両全損時一時金』特約」と呼んでいることもあります。車両保険によっては、地震特約と短縮しているケースも珍しくありません。
車両全損時一時金特約は、車両保険に加入している方のみ付帯することができる特約です。地震・噴火・津波起因で、契約車両が損害を受けた場合に補償されます。
ただし、すべての保険会社で扱っているわけではなく、どちらかというと代理店型の保険会社がメインで扱っている特約です。地震が多発する地域、海岸線に住んでいる方、火山帯近くに住んでいる方は、付帯することを検討してはいかがでしょうか。
扱っている保険会社によって若干内容に違いはありますが、原則、全損扱いとなった場合のみ補償されることになっています。地震・噴火・津波車両全損時一時金特約でいう全損は、自動車保険でいう全損と少々異なります。まずは以下をご覧ください。
など
たとえば、地震がきっかけとなって火災が発生し、契約車両が全焼した場合。それから、津波で車が流されてしまい、流失もしくは埋没して発見されなかった場合は、全損扱いとなります。
全損に該当する損害は、保険会社ごとで対応が分かれるため、各保険会社の公式WEBサイトを参考にするか、約款の内容を確認してください。
車両全損時一時金特約を採用している保険会社をまとめました。まずは、以下の表をご覧ください。
保険会社 | 補償額 |
---|---|
チューリッヒ | 50万円 |
アクサダイレクト | 50万円 |
東京海上日動 | 50万円 |
あいおいニッセイ同和損保 | 50万円 |
三井住友海上 | 50万円 |
損保ジャパン日本興亜 | 50万円 |
共栄火災 | 50万円 |
AIU保険 | 50万円 |
富士火災 | 50万円 |
日新火災 | 50万円 |
マイカー共済 | 50万円 |
JA共済 | 50万円 |
朝日火災 | 車両保険額 |
チャブ保険 | 車両保険額 |
5つのポイントを、1つずつみていくことにします。上記の表をご覧いただくと分かるとおり、ダイレクト型の保険会社はチューリッヒとアクサダイレクトのみでした。他のダイレクト型の保険会社では扱っていません。
続いて補償額に関しては、どの保険会社も最大50万円までとなっています。注意したいのは、車両保険金額が50万円未満の場合です。その場合は、車両保険金額と同額が支払われることになります。
③で取り上げた朝日火災とチャブ保険ですが、この2社のみ他の保険会社とは異なります。車両保険金額が上限となっており、実際に受けた損害分を補償してもらうことが出来るのです。
続いて④ですが、多くの保険会社では、車両保険の一般型に加入することを条件としています。
しかし、アクサダイレクトや朝日火災など、一部の保険会社では、エコノミー型でも付帯が可能です。詳細は必ず保険会社に確認することをお勧めします。
最後の⑤に関しては、別の項ですでに触れました。車両全損時一時金特約は、全損の場合のみ補償される特約ですので、分損時は補償されません。
ただし、朝日火災とチャブ保険に限り、分損でも補償されることがあるため、非常に手厚い補償が期待できます。
車両全損時一時金特約の補償金額は、最大50万円です。ただし前項でも触れたとおり、車両保険の上限が50万円未満の場合は、車両保険金額と同額が支払われます。
次に保険料ですが、どの保険会社も年間5,000円程度です。たとえば、三井住友海上の場合、一律5,000円(保険期間1年、一時払い)でした。その他の保険会社も、ほぼ同じ内容となります。
補償を50万円未満とした場合は、その分の保険料が安くなりますので、5,000円以下になることもあります。以上が、車両全損時一時金特約の補償金額と保険料でした。ここで1つ補足があります。
車両全損時一時金特約は、元々「地震・噴火・津波車両損害特約」といった名称で販売されていた特約でした。補償金額は車両保険金額の上限までとなっており、分損で車両が損害を受けた場合も補償されたのです。
大変便利な特約だったのですが、2011年の大震災をきっかけに販売が中止され、補償範囲が限定的な、現在の車両全損時一時金特約へ変わったという経緯があります。
大きな災害が起きたときに、車両保険の上限まで実損分を補償してしまうと、保険会社は破綻してしまいます。
補償額が50万円まで下がってしまったことは、致し方ないとはいえますが、被災時は様々な面で金銭的な負担が大きくなりやすいため、もう少し補償内容を厚くしてもらいたいものです。
災害が多い地域にお住まいの方は、車両全損時一時金特約を付帯することが難しいことがあります。そのため、付帯することを検討している場合は、一括見積もり等を活用し、付帯することができる保険会社を利用しましょう。
また、基本的には車両保険の一般型への加入が必須であるため、エコノミー型に加入している場合は、契約変更を行わなければなりません。ここで注意したいのは、契約期間中に車両全損時一時金特約を付帯することはできない点です。
つまり、翌年の更新時のときまで待ち、そのときに契約内容を変更する必要があります。保険会社によって対応は様々ですので、直接問い合わせて確認するようにしましょう。以上が特約を付帯するための注意点ですが、2点抑えておきたいことがあります。
しかし、地震・津波・噴火で全損となり、車両全損時一時金特約を使った場合は、保険金を受け取ったとしても、車両の所有権は保険会社へ移転しません。
2011年から2017年までの6年間、全国各地で様々な災害が発生したこともあり、地震・津波・噴火などの自然災害に備えておきたいといったニーズが高まっています。
地震・津波・噴火による被害に備えて、車両全損時一時金特約を付帯しておいた方が良いのでしょうか。結論からいいますと、自動車保険の車両全損時一時金特約(地震特約)は必要な特約だといえます。
これまで解説してきたとおり、車両全損時一時金特約は、手厚い補償を受けることができるわけではありません。
しかし、比較的短い期間で保険金が支払われるため、当面の交通費などとして役立てることができます。
ただし、契約車両の市場評価額が50万円以下の場合は、車両全損時一時金特約を付帯する意味はありません。
50万円未満のときは、車両保険の補償額が上限となりますし、ほとんど保険金はもらえないと考えていた方が無難です。
以上のことから、契約車両の市場評価額が50万円以上で、尚且つ自然災害の被害に遭った際に、当面の交通費などして保険金を使いたい方は、車両全損時一時金特約を付帯しておくことをお勧めします。
私は年間で57,230円の保険料を支払っていましたが、保険スクエアbang!という一括見積もりサイトを利用して、保険料を20,630円まで安くすることに成功しました。
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