自賠責保険と任意保険は、“自動車保険”として一括りにされるケースが目立ちます。しかし、厳密にいうと全く異なる保険です。しかし、自動車保険に不慣れな初心者の方の場合、任意保険と自賠責保険の違いが分からないといったケースが少なくありません。
そこで今回は、自賠責保険(強制保険)と任意保険の違いについて取り上げながら、任意保険と自賠責の補償内容や限度額など、詳しく解説していきます。
自動車保険は、「自賠責保険」と「任意保険」の2つに分かれます。自賠責保険は、法律により加入が義務付けられている保険。任意保険は、自動車の所有者が任意で加入する保険です。
交通事故が発生した場合、先に自賠責から支払いがあり、そのあと任意保険から支払われるといった流れとなっています。任意保険でも補えないときは、自己負担で賠償責任を果たさなければなりません。
このように、自賠責と任意保険には様々な違いがあります。この項では、基本的な違いについて詳しく見ていくことにしましょう。まずは、以下の表をご覧ください。
自賠責保険 | 任意保険 | |
---|---|---|
加入方法 | 自動車損害賠償保障法により強制加入が義務付けられている | 加入は任意となっている |
補償の対象 | 対人賠償のみ対象となっている | 対人賠償、対物賠償、傷害保険、車の補償、自損事故補償など、自賠責保険より幅広く取り扱っている |
補償額 | 補償額の上限の範囲内で支払われる | 補償ごとで金額は異なる (補償によっては規定範囲内で自ら選択できることもある) |
示談代行 | 示談交渉はない | 示談交渉あり (自分が過失0%の事故は示談交渉不可) |
過失相殺・減額 | 既定の範囲内で過失相殺、減額がある | 過失相殺、減額あり |
免責事由 | 任意保険と比較すると多くはない | 自賠責保険よりも多い |
代表的な6つの違いをピックアップしました。加入方法については、冒頭で触れましたので、残りの5つの要点を以下で詳しく解説していきます。
自賠責保険の場合、「対人賠償」しか補償されません。一方、任意保険は、「対人、対物、傷害、車両保険、自損事故」など、多様な補償が用意されています。
この後の項で詳しく触れるため、ここでは補償額について触れませんが、自賠責保険の場合は限度額が決まっています。(死亡3,000万円など)一方、任意保険の場合、補償内容ごとで限度額は様々です。たとえば、3,000万円や無制限などがあります。
なお、車両保険は「保険加入時の車の時価額」によって決まるため、年々、補償額は下がるといった特徴があります。車の型式や年式などが新しい車ほど、補償額は高くなるのです。
自賠責保険には、示談交渉の代行がありません。一方、任意保険には示談交渉がついています。ただし、自分に過失がある場合のみ依頼が可能です。100%相手に過失責任がある事故は、法律上、保険会社は示談交渉を代行することができません。
その場合、弁護士特約を使って弁護士に示談交渉を依頼することになります。もしくは、自分で示談交渉をするしかありません。
自賠責保険の場合、被害者に重大な過失があった際に、一定割合に応じて減額される仕組みが導入されています。一方、任意保険の場合は損害を調査した上で示談交渉を行い、厳格に過失を決めています。
自賠責保険の場合、重複契約を除いて自賠責保険契約者、もしくは被保険者が意図的に事故を起こしたときのみ免責事由に該当します。一方、任意保険の場合は、保険会社側が保険金の支払い義務を免れるための免責事由がほとんどです。
なお、上記の表の中にはありませんが、任意保険と自賠責保険とでは、補償対象となる人や補償対象外となる人が異なります。要点を以下にまとめましたので、こちらも併せて参考にしてください。
ここでいう補償対象者とは、事故を起こした時に保険を使うことができる人のことを指します。
記名被保険者(主に運転する方)
記名被保険者の配偶者
記名被保険者またはその配偶者の同居親族
記名被保険者またはその配偶者の別居の未婚の子
記名被保険者の承諾を得た使用者
被保険自動車の運転者、もしくはその父母、配偶者、子
被保険者、もしくはその父母、配偶者、子
被保険者の業務に従事している使用人
被保険者の使用者の業務に従事している他の使用人
この項では、自賠責保険について詳しく見ていくことにします。
自賠責保険とは、強制保険のことです。任意保険と異なり、法律で加入が義務付けられています。加入しなかった場合、罰則があるため注意しましょう。詳細は以下の通りとなります。
なお、自賠責保険証明書は、常に車に備え付けておく必要があります。所持していない場合は、30万円以下の罰金です。
以下の表を用いながら、任意保険と自賠責保険の補償の違いについて詳しく見ていくことにしましょう。
相手方への補償 | 自分への補償 | 示談交渉の代行 | その他 | |||
---|---|---|---|---|---|---|
死傷 | 車・物 | 死傷 | 車 | |||
自賠責保険 | 死亡:3,000万円まで 傷害:120万円まで 後遺障害:最大4,000万円まで (常時介護の場合) |
補償なし |
||||
自動車保険 (任意保険) |
対人賠償保険 |
対物賠償保険 | 人身傷害保険 搭乗者傷害保険 など |
車両保険 | あり ※任意保険契約者にも過失がある場合のみ代行可能 |
各種特約 ロードサービス |
自賠責保険は、被害者救済を目的とした保険です。そのため、「相手方の身体に関する損害への補償」しかなく補償額は決まっています。一方、任意保険の場合は、上図のとおり補償の種類は様々です。補償額に関しては、補償内容ごとで異なります。
つまり、自賠責保険の方が補償範囲は狭く、補償額は低いのです。自賠責の補償額の上限を超えた場合や、対人賠償以外の損害をカバーする場合に、任意保険が使われるということになります。
なお自賠責は任意保険と違い、保険料はどの保険会社(共済)から加入しても一律です。
この項では、自賠責保険の支払い限度額(補償限度額)について見ていくことにします。まずは以下の表をご覧ください。
補償範囲 | 補償内容 | 支払い金額 | |
---|---|---|---|
相手に対する賠償 | ケガによる損害 | 治療関係費、文書料、休業損害、慰謝料 | 被害者1名:120万円まで |
後遺障害 | 逸失利益、慰謝料など | ①神経系統の機能、精神、胸腹部臓器への著しい傷害で介護を要する傷害 常時介護:被害者1名4,000万円まで 随時介護:被害者1名3,000万円まで ②上記以外の後遺障害 被害者1名: 第1級3,000万円から第14級75万円まで |
|
死亡による損害 | 葬儀費、逸失利益、慰謝料 | 被害者1名:3,000万円まで |
上記のとおり、相手に対する賠償のみとなっており、ケガによる損害は120万円までです。後遺障害は障害の等級や障害の状況によって異なり、最大4,000万円までしかカバーされません。死亡については、3,000万円までです。
後遺障害や死亡の賠償金は、数千万円から1億円を超えることがあるため、自賠責保険のみでカバーすることは困難なことがあります。
任意保険は、あくまでも自賠責保険でカバーできない部分を補償する保険です。保険料は、保険会社や補償設計によって異なります。
たとえば、40代の既婚男性を例に挙げると、ダイレクト型自動車保険で2万円台から4万円台、代理店型自動車保険で3万円台から5万円台くらいです。車両保険を付帯した際は、もう少々高くなることがあります。
すでにお伝えしたとおり、自賠責保険は人身事故で他人を死傷、後遺障害を負わせたときにカバーされますが、対物賠償などはカバーされません。
しかし任意保険の場合、対人賠償や対物賠償のほか、自分・同乗者が死傷した際の補償、車の補償など幅広くカバーできます。
任意保険の補償内容を、表にまとめました。まずはこちらをご覧ください。
補償範囲 | 保険の種類 |
---|---|
相手に対する賠償 | 対人賠償保険 |
対物賠償保険 |
|
自分に対する補償 | 人身傷害補償保険 |
搭乗者傷害保険 |
|
自損事故保険 |
|
無保険車傷害保険 |
|
自分の車に対する補償 | 車両保険 |
任意保険の補償は、大きく分けると3区分あります。「相手に対する賠償」「自分に対する補償」「自分の車に対する補償」です。保険の種類ごとの概要を、簡単に以下にまとめました。参考にしてください。
任意保険では、前項でご紹介した補償の他に「特約」「ロードサービス」が用意されています。自賠責と任意保険の、大きな違いの1つといってもよいかもしれません。
「ロードサービス」に関しては、ほとんどの保険会社が無料で提供しており、JAFよりもサービスが充実しているケースが少なくありません。
一方、「特約」に関しては、さらに補償を厚くしたいときに追加で付帯するといった位置付けとなります。「特約」と「ロードサービス」の特徴を以下にまとめましたので、参考にしてください。
代表的な特約を5つご紹介します。
他人の車を運転中に事故を起こした場合、契約中の自分の車の補償を基準にカバーしてもらうことができます。
自分の過失が0%の場合、弁護士に示談交渉を依頼した時にかかる費用や、訴訟費用などを補償してもらうことができます。
対物賠償保険でカバーされるのは、財物の時価額までです。損害が時価額を超えた場合、超過分は自腹で負担しなければなりません。そのようなときに対物超過修理費用補償特約があると、超過分の損害をカバーできます。
補償対象となる運転者の年齢を限定することで保険料が安くなる特約です。
補償対象となる運転者を限定することで保険料が安くなる特約です。
現場での応急処置(パンク時のスペアタイヤ交換、ガス欠、無料レッカー、バッテリー上がりなど)の他、緊急宿泊費、緊急時移動費など、保険会社ごとで様々なサービスを提供しています。
一般的に、ダイレクト型自動車保険のロードサービスの方が、サービス内容は充実しています。また、事故時だけに限らず、車のトラブルが発生した際も利用が可能です。
1つのサービスにつき、保険契約期間中1回まで無料提供となっているケースがほとんどとなります。レッカーけん引距離、無料ガソリン給油回数などは、保険会社ごとで異なるため事前確認が必須です。
私は年間で57,230円の保険料を支払っていましたが、保険スクエアbang!という一括見積もりサイトを利用して、保険料を20,630円まで安くすることに成功しました。
保険スクエアbang!は、見積もり結果がブラウザ上に表示されるので、すぐに保険料を知りたい方にはかなり便利なサービスだと思います。
ちなみに、難しいことは一切していません。5分くらいで出来てしまいました。見積もりサービスと聞くと、資料が大量に送られてくるんじゃないの?電話などの勧誘やセールスがくるんじゃないの?と思われるかもしれませんが、そんなことは一切ありませんでした。