近年の自動車保険は、リスク細分型となっています。そもそも、リスク細分型の自動車保険とは、どのような内容なのでしょうか。
今回はリスク細分型自動車保険について取り上げながら、保険料が安くなる方の特徴、メリット・デメリットなど詳しく解説していきます。ぜひ参考にしてください。
事故リスクによって、保険料が変動する自動車保険を『リスク細分型自動車保険』と呼びます。
2017年6月現在、ほとんどの損保会社がリスク細分型自動車保険を提供していると考えて間違いありません。
1998年に保険業法が改定され、保険料の料率が自由化となったため、事故リスクに応じて保険料を算出する損保会社が増えました。
現在、各損保会社は主に9つのリスク要因を細かく分類し、適切な保険料を算出しています。つまり、事故リスクが低い優良ドライバーは保険料が安くなるのです。
先述したとおり、損保会社は9つのリスク要因を細かく分類し、保険料を算出しています。
損保会社によってリスク要因の判断基準は異なりますが、基本的な考え方は同じです。9つのリスク要因区分の概要は、以下の通りとなります。
警察庁などが公開している交通事故統計資料によると、20歳前後や高齢者の事故率は高めとなっています。そのため、若年層や高齢者は保険料が高くなります。
また、多くの保険会社では3~4つの年齢区分に分けており、30代後半から50代くらいまでの年代は保険料が安くなる傾向にあります。
男女の違いによって、保険料が大きく異なることはありません。男性よりも、女性の方が保険料は高くなるといった情報を目にすることがありますが、必ずしもそうとは限りません。
そもそも、女性ドライバーが起こす事故の多くは、車庫入れなどで車体に傷をつける軽微な内容が目立ちます。保険料が大幅に変わるほど、大きな事故を起こすことは少ないため、性別による保険料の差はほぼないといえます。
一般的に、自動車保険へ加入する際は『ノンフリート契約』となります。1~20等級に分かれており、最初は6等級から始まります。
保険期間中に無事故で過ごすことができれば、翌年に等級が1つ上がり、割引率が高くなります。
逆に事故を起こして保険を使うと、事故の内容によっては等級が下がり保険料の割引率が低くなります。最悪の場合、翌年の契約ができないケースもあるため注意が必要です。
また、免許証の色がゴールドの場合、5年以上は無事故・無違反を続けているため、ブルー免許やグリーン免許の人と比べると今後も事故を起こす可能性は低いと判断され、保険料が割引になります。
車を使用する頻度が多いと、事故に遭遇する確率は高まります。そのため、車を運転する機会がない方のほうが、保険料は安くなります。
リスク細分型自動車保険の場合、レジャー使用(日常含む)が最も保険料は安く、通勤通学、業務用の順番で徐々に高くなります。
年間走行距離が多いほど、保険料は高くなります。たとえば、リスク細分型自動車保険のソニー損保の場合、通勤・レジャーでの使用は年間7,000km。
ほぼ車を運転する機会がない場合は、年間3,000km程度を目安として段階的に保険料が変動します。
大都市や事故率が高い地域に居住している方は、保険料が高くなります。たとえば、愛知県、大阪府、福岡県は事故件数が多く、他の都道府県よりも保険料は高めです。
車種や型式ごとに、車両料率クラスが設けられています。一般的に、高級車・人気車は盗難やいたずらに遭いやすいため、車両保険は高めです。また、全国的に事故率が高い車種も保険料は高く設定されています。
安全装置とは、エアバック、四輪駆動、ABS、盗難防止装置などを指します。安全装置が搭載されている自動車は、事故率が低い傾向にあるため保険料は安くなるのです。
自動車保険の契約は、所有・使用している車の台数が9台以下のノンフリート契約と、10台以上のフリート契約に分かれます。保険料の割引率が高いのは、フリート契約です。
リスク細分型自動車保険に変更したからといって、保険料が必ず安くなるわけではありません。
事故を起こすリスクが高かったり、ノンフリート等級が低い場合などは、保険料が高くなります。
ここでは、保険料が安くなる可能性がある人、高くなる可能性がある人をそれぞれピックアップしました。なお、上記で取り上げた9つの区分に沿って解説しています。
ここでは、リスク細分型自動車保険のメリットとデメリットについて詳しく解説していきます。要点を以下にまとめましたので、参考にしてください。
リスク細分型自動車保険を選ぶ際のポイントは、リスクが細分化され過ぎていない損保会社を選ぶことです。
リスク要因が細かく分かれていると、保険料が上がりやすくなります。そのため、保険料を抑えたい場合は、各社の見積もりツールを参考にしながら、リスク要因の区分をチェックしてみましょう。
今回は、東京海上日動火災保険、イーデザイン損保の見積もりツールを確認し、各社のリスク要因区分をチェックしてみました。まずは、以下の図をご覧ください。
※リスク要因区分に関連のある項目のみピックアップしています
東京海上日動火災保険 | イーデザイン損保 |
---|---|
・現在のノンフリート東京 ・車の情報 運輸支局 ナンバーの種類 初度登録年月 車名 型式 ・使用目的 ・記名被保険者の生年月日 ・免許証の色 ・補償範囲(運転者限定) ・運転する方の年齢条件 ・車両保険の有無 |
・現在のノンフリート東京 ・事故有係数適用期間 ・事故の有無 ・車の情報 メーカー名 車名 型式・仕様 初度登録年月 ・車の所有者 ・年間走行距離 ・車両保険の有無 ・主に運転される方の申告 ・記名被保険者の生年月日 ・免許証の色 ・使用目的 ・主な使用地(都道府県) ・補償範囲(運転者限定) |
東京海上日動火災保険の方が、イーデザイン損保よりも区分が少ない結果となりました。また、イーデザイン損保の場合、先述した9つのリスク要因区分をほぼ網羅していることが分かります。
あくまでも、見積もりツールで公開されていた内容のみで判断することとなりますが、イーデザイン損保の方が細かなリスク要因区分を設けている可能性が高いといえそうです。
ちなみに、イーデザイン損保のようなダイレクト(通販)型の自動車保険は、リスク要因の区分が多くても保険料を安く抑えることは可能です。
なぜなら、代理店型の東京海上日動火災保険とは異なり、店舗を運営する費用や人件費などがあまり掛らないため、その分、保険料が安く設定されているからです。
更にいうと、細かなリスク要因区分を設けていることで、おのずと事故リスクが低い契約者を集めることになり、保険金支払いの機会が少なくなるため、保険料を安く抑えることができているともいえます。
注意したいのは、同じダイレクト型、もしくは代理店型の自動車保険同士を比較する際、リスク要因区分を確認した方が賢明だということです。
今回のように見積もりツールを活用し、実際の保険料を比較してみると、より違いが分かりやすくなります。
なお、すでに自動車を所有していると仮定し、その上でリスク細分型自動車保険への加入を検討する場合、自らコントロールできる項目は限られてしまうものです。
主にコントロールが可能な項目を3つ取り上げましたので、参考にしてください。
ほとんどの損保会社では、年齢を問わず補償・21歳以上補償・26歳以上補償・30歳以上補償・35歳以上補償といった具合に、年齢条件を設定しています。なお、30歳以上と35歳以上の両方が設定されているケースは見掛けません。
主に運転をする方が1名の場合、年齢条件はおのずと決まってしまいますが、家族で1台の車を共有する場合は注意が必要です。
たとえば、普通運転免許を取得している子供が別居しており、帰省時のみ運転をするケースが該当します。
家族限定の運転者限定特約をつけると、同居している家族の中で最も若い運転者の年齢が基準となるため、子供の年齢に合わせる必要はありません。
また、家族限定の運転者限定特約は、年齢条件に関係なく別居している子供も補償範囲となるため、該当する方は契約内容を見直しましょう。
等級が高い方のほうが、保険料は安くなります。たとえば、同居している配偶者の等級が自分よりも高い場合、記名被保険者(主に運転をする方)を配偶者にすることで保険料を抑えることができるのです。
ただし、配偶者があまり運転をしない場合、記名被保険者とすることは難しくなります。その点だけ注意をしましょう。
日常では車を使用するものの、休日に遠出する機会が減少したということであれば、契約時よりも走行距離が減っているはずです。
年間の走行距離によって、保険料が変動する自動車保険へ加入している場合は、契約内容の見直しをしましょう。
特に有名なのは、ソニー損保です。上記の表で取り上げたイーデザイン損保も、走行距離によって保険料が変動します。
私は年間で57,230円の保険料を支払っていましたが、保険スクエアbang!という一括見積もりサイトを利用して、保険料を20,630円まで安くすることに成功しました。
保険スクエアbang!は、見積もり結果がブラウザ上に表示されるので、すぐに保険料を知りたい方にはかなり便利なサービスだと思います。
ちなみに、難しいことは一切していません。5分くらいで出来てしまいました。見積もりサービスと聞くと、資料が大量に送られてくるんじゃないの?電話などの勧誘やセールスがくるんじゃないの?と思われるかもしれませんが、そんなことは一切ありませんでした。