飛び石や落下物でフロントガラスにヒビが入った場合、車両保険で修理をすることはできるのでしょうか。
そこで今回は、飛び石や落下物によるフロントガラスの損害と車両保険について取り上げながら、車両保険の利用可否、車両保険が適用されるまでの流れなど、詳しく解説していきます。
飛び石や落下物によってフロントガラスにヒビが入った場合、車両保険に加入していれば補償されるケースがほとんどです。
ここでは、車両保険の基本的な概要、補償範囲、車両保険を適用するまでの流れについてみていくことにしましょう。
車両保険は、補償範囲が広い「一般型」、補償範囲が限定される「エコノミー型」の2つに分かれます。一般的な内容は以下の表のとおりです。
事故の概要 | 一般車両(一般型) | 車対車 + 限定A (エコノミー型) |
---|---|---|
車やバイクとの衝突・接触による損害 | ○ |
○ |
自転車との衝突・接触による損害 | ○ |
× |
電柱・建物などとの衝突や接触による損害 (自損事故) |
○ |
× |
あて逃げ(相手不明) | ○ |
× |
落下物・飛来物による損害 | ○ |
○ |
火災・爆発・台風・洪水・高潮などによる損害 | ○ |
○ |
盗難・いたずら・落書きによる損害 | ○ |
○ |
窓ガラスの損害・飛び石による損害 | ○ |
○ |
地震・噴火・津波による損害 | × |
× |
上記の表の中で注目したいのは、「落下物・飛来物による損害」の項目です。飛び石や落下物によってフロントガラスにヒビが入った場合、損害の内容としては「落下物・飛来物による損害」が該当します。
一般型、エコノミー型のどちらに加入していても、補償を受けることはできるということです。ただし、1つだけ注意したいことがあります。
保険会社によって、エコノミー型が更に細分化されていることがあり、その中で「車対車の衝突事故」しか補償されないケースがあります。
つまり、飛び石による損害は補償されず、車両保険に入ってない場合と同様に自己負担で修理する必要があるということです。
契約している保険会社ごとで、内容は異なります。ここでは、一般的な流れについてみていくことにしましょう。
事故届は被害の軽重や相手の有無に関係なく、警察に届け出る義務があります。ただし、事故証明書を出してもらうことができるかどうかは、警察署の判断となるようです。
110番へ連絡をし、飛び石による損害が生じたことを伝えると、現場まで警官が駆けつけてくれますので、詳細は警察官の指示に従ってください。
保険会社に連絡し、飛び石による損害が生じた件について報告します。その際、警察に事故届を出したことを伝えてください。
保険会社によって、警察への届出は不要となるケースもあるようですが、ケースバイケースです。
また、事故の報告だけではなく、以下の4点も確認することをお勧めします。
・車両保険が付保されているか
・免責額(自己負担額)は設定されているか
・車両保険を使った場合、翌年の保険料はどのくらい高くなるか
・修理工場は指定されているのか。もしくは自分で探しても良いのか
ちなみに、飛び石の相手が分かっている場合、修理費用を相手に請求することができるケースもあります。もしも相手が分かっている場合は、その点も踏まえた上で保険会社に相談をしましょう。
修理の方法は、大きく分けると2つあります。1つは、自分でディーラーなどに車を持ち込んで修理を受ける方法。もう1つは、保険会社が指定する修理工場で修理を受ける方法です。
自分でディーラーなどに車を持ち込んで修理を受ける場合は、見積もりを取る前に保険の支払いで対応できるのか確認してください。自己判断で修理をしてしまうと、保険金が支払われないことがあるため注意しましょう。
保険での対応が可能であれば、そこで初めて見積もりを依頼します。「ガラスの取り換え」「リペア修理」のどちらの修理になるか確認し、修理費用を出してもらいましょう。
保険会社が指定する修理工場で修理を受ける方法ですが、保険会社から詳しく案内されることが大半です。「ガラスの取り換え」「リペア修理」のどちらになるか確認し、見積もりを出してもらう流れとなります。
なお、1つ注意点があります。修理に日数が掛る場合で代車が必要なときは、代車費用特約が付保されているか契約内容を確認してください。
もしも代車費用特約が付保されていないときは、修理工場で代車の無料サービスを提供していないか相談をします。代車の提供が困難な場合は、別の修理工場で修理することも検討しましょう。
一般的に、保険金は修理工場へ直接振り込まれるケースがほとんどです。
車両保険を使って修理をした後は、保険会社から保険金請求書が届くため、必要事項を記入して返送しましょう。不備がなければ、一連の手続きは完了します。
落下物・飛び石による損害で車両保険を使い、ボンネットの傷やフロントガラスのヒビを修理した場合、翌年の更新時に1等級下がるため注意しましょう。
また、事故有係数適用期間が1年となることから、7等級以上の方は事故有りの低い割引率が適用されます。
自動車保険には、「ノンフリート等級制度」と呼ばれる仕組みが導入されています。1~20等級に区分されており、7~20等級は更に「事故有・事故無」ごとに割引率が分かれています。
上記の仕組みは、2012年10月1日以降から導入されたものです。保険会社によって、2013年4月1日から導入されたケースもありますが、おおよそ同じ時期に改定されています。
2012年10月1日以前は、「事故有・事故無」に分かれておらず、また等級が据え置き扱いとなる保険事故がありました。
等級据え置きとは、事故で保険を使っても、翌年の更新時に等級がダウンしない事故のことです。
飛び石によるフロントガラスの損害は、等級の据え置き事故に指定されていました。つまり、車両保険を使っても、飛び石による損害であれば、翌年に等級が下がることはなかったのです。
しかし、保険料の公平性を図る目的でノンフリート等級制度が改定され、その際に等級据え置き事故は廃止されています。かわりに導入されたのが、1等級ダウン事故です。
あくまでも一例となりますが、1等級ダウン事故に指定されている保険事故は以下のとおりです。
1等級ダウン事故 |
---|
・盗難により車両保険が支払われた事故 ・台風や洪水よる損害で車両保険が支払われた事故 ・落書き、いたずら、窓ガラス破損で車両保険が支払われた事故 ・騒じょうや労働争議による暴力行為、破損行為で損害を受け車両保険が支払われた事故 など |
飛び石による損害で修理が必要となった場合、自分で支払うことになるケースが目立ちます。主な理由は以下の2つです。
なお、運良く相手が判明したとしても、修理代を請求したり、回収することはほぼ不可能だと考えていた方が無難です。
フロントガラスの修理方法は、リペアとガラス交換のいずれかとなります。リペアとは、フロントガラスの交換をせずに、ヒビを修繕する修理のことです。
おおよそ、1万円から2万円ほどで修理をすることができます。500円玉ほどのヒビや傷であれば、リペアで修理が可能となるケースがほとんどです。車種によって、修理費用は若干異なります。
5万円から10万円ほどの金額となります。リペアと同様、車種によって修理費用は異なるため、実際に見積もりを依頼して金額を確認するようにしましょう。
なお、スバルレヴォーグのアイサイトのように、特殊なフロントガラスを使用している場合、20万円ほどの修理代となることがあります。
ただし、スバルでは「フロントガラス交換サービス」を提供しており、対象条件を満たしている場合は、自己負担3万円でフロントガラスを交換することが可能です。
アイサイトに限らず、特殊加工されたフロントガラスを使用している場合は、ディーラーや修理工場に見積もりを依頼した上で、相場を確認するようにしましょう。
車両保険を受け取って修理をしなかった場合、契約違反となることはありません。保険金を受け取って、修理以外の別のことにお金を使っても問題はないのです。
車両保険の場合は金銭賠償となるため、保険会社は保険金の使途を確認していないことが関係しています。
ちなみに、保険金を受け取って修理をしない場合、1つ注意したいことがあります。フロントガラスにヒビが入っていると、車検に通りづらいということです。
小石によるかすり傷ほどであれば、車検に通ることもありますが、少々目立つヒビは車検に通りません。
また、フロントガラスのヒビを放置してしまうと、圧力、気温差、振動によってヒビの状態が悪化することがあります。
ヒビが小さければ、リペアで修繕が可能ですので、車両保険を使う・使わないに限らず、早めに処置を施すようにしましょう。
この項では、フロントガラスのヒビを「実費で修理するか」「車両保険を使って修理するか」の判断基準について解説します。
フロントガラスにヒビが入ることで、ガラスの強度は低下します。ちょっとした衝撃でヒビが広がったり、フロントガラスが割れることがあるため、まずは修理工場へ相談をしましょう。その上で、修理費用がどのくらい掛るのか見積もりを出してもらいます。
たとえばソニー損保の場合、公式WEBサイト上で、保険を使った場合の保険料をシミュレーションすることが可能です。
現在の保険料、現在の等級、事故の種類を入力すると、おおよその保険料をチェックすることができます。
たとえば、保険料が6万円、等級が10等級、1等級ダウン事故とした場合、翌年以降の保険料は以下の通りです。
保険を使った場合 | 保険を使わなかった場合 | ||||
---|---|---|---|---|---|
年 | 等級 |
保険料(イメージ) |
年 | 等級 |
保険料(イメージ) |
翌年 | 事故有9等級 |
85,000円 |
翌年 | 無事故11等級 |
58,000円 |
2年後 | 無事故10等級 |
60,000円 |
2年後 | 無事故12等級 |
57,000円 |
3年後 | 無事故11等級 |
58,000円 |
3年後 | 無事故13等級 |
56,000円 |
合計額 | 203,000円 |
合計額 | 171,000円 |
ご覧のとおり、保険を使った場合と保険を使わなかった場合の保険料を比較したところ、3年後の保険料の差額は32,000円となりました。
車両保険を使った翌年以降、保険を一切使わないことが前提となりますが、上記の結果から「事故後3年以内で比較した場合、修理代が32,000円以下であれば自腹で修理をした方が良い」ことが分かります。
免責額は自己負担する金額のことを指しており、設定した免責額を差し引いた分が保険金として支払われます。
保険期間中の1回目の事故で5万円、2回目以降で10万円の免責額を設定していたとしましょう。1回目の事故で車両保険を使うと、5万円分は自己負担することになるため、残りが保険金として支払われます。
ここでのポイントは、実際に支払われる保険金額と、ポイント2で算出した保険料の差額を比較することです。
たとえば保険金が150,000円、保険料の差額が32,000円といった具合に金額差が大きい場合、車両保険を使った方がトータルのコストを抑えることができます。
しかし、金額差が数千円から2~3万円ほどと、極端にお得になるわけではない場合、自腹で修理をするのも1つの方法です。
私は年間で57,230円の保険料を支払っていましたが、保険スクエアbang!という一括見積もりサイトを利用して、保険料を20,630円まで安くすることに成功しました。
保険スクエアbang!は、見積もり結果がブラウザ上に表示されるので、すぐに保険料を知りたい方にはかなり便利なサービスだと思います。
ちなみに、難しいことは一切していません。5分くらいで出来てしまいました。見積もりサービスと聞くと、資料が大量に送られてくるんじゃないの?電話などの勧誘やセールスがくるんじゃないの?と思われるかもしれませんが、そんなことは一切ありませんでした。