自動車保険は、ダイレクト型(通販型)と代理店型に分けることができます。それぞれメリット・デメリットがあるため、一概にどちらが良いとはいえません。
今回はダイレクト型と代理店型自動車保険の概要について取り上げながら、異なる点や保険料の違いなど詳しく解説していきます。ぜひ参考にしてください。
自動車保険は、ダイレクト型(通販型)と代理店型で内容が若干異なります。詳しくみていくことにしましょう。
ダイレクト型の自動車保険とは、電話やインターネットで販売している自動車保険のことです。代理店を介さず、保険会社と直接契約をする形態となっています。最大の特徴は、代理店型よりも保険料が安いことです。
店舗の運営費用や人件費などを抑えることができるため、その分、保険料が安くなっています。また事故リスクが保険料に反映される、リスク細分型システムを導入していることも保険料の安さに繋がっているのです。
1998年に保険業法が改定され、保険料の料率が自由化されたことから、電話・通販で自動車保険を販売するスタイルが普及し始めたといわれています。
代理店型とは、自動車販売店などの代理店の担当者を通じて、店舗や自宅などで対面しながら契約を行う自動車保険のことです。保険業法改定前は代理店販売しかなかったこともあり、最も広く知られている自動車保険の販売形態だといえます。
最大の特徴は、自動車保険に関する知識がなくても、担当者に相談しながら安心して契約することができる点です。
保険商品の内容はもちろんのこと、補償内容や特約の内容に関する疑問点などは、担当者の説明を受けながら、納得した上で契約することができます。
ただし、仲介手数料が発生し保険料が高くなってしまうため、保険料の安さよりもサポートの充実度を重要視したい方に最適です。
ダイレクト型、代理店型の主な企業を表にまとめました。まずはこちらの表をご覧ください。
ダイレクト型自動車保険 | 代理店型自動車保険 |
---|---|
イーデザイン損保 セゾン自動車火災保険 ソニー損害保険 チューリッヒ保険 セコム損害保険 アクサダイレクト 三井ダイレクト損害保険 SBI損害保険 そんぽ24損害保険 セコム損保 |
AIU損害保険 |
この後ご説明しますが、ダイレクト型(通販)自動車保険のシェア率(6%~7%)は低めですが、だからといって認知度が低いわけではありません。
大々的に広告を打っていることもあり、イーデザイン損保、チューリッヒ保険、ソニー損保あたりは認知度が高い自動車保険になります。
また、ダイレクト型自動車保険の中には、大手代理店型損保会社系列の企業がいくつか含まれています。
代理店型自動車保険並みのサービスの質を求めつつ、できるだけ保険料を抑えたい方は選択するのも一考です。
たとえば、イーデザイン損保は東京海上グループ会社、そんぽ24・セゾン自動車火災は損保ジャパン日本興亜のグループ会社となっています。
ダイレクト型と代理店型の比率を、詳しく見ていくことにします。今回は、正味収入保険料を用いながら比較することにしました。
正味収入保険料とは、一般企業の売上と同じような意味合いを持つ言葉です。正味収入保険料の金額が大きくなるほど、保険会社の規模が大きいことを表します。
そのため、ダイレクト型と代理店型の比率は、正味収入保険料を比べることでおおよそ理解することができるのです。まずは、代理店型の正味収入保険料からみていくことにしましょう。
企業名 | 正味収入保険料 | |
---|---|---|
平成26年度 | 平成27年度 | |
損保ジャパン日本興亜 | 9,078億円 |
1兆701億円 |
東京海上日動火災 | 9,903億円 |
1兆307億円 |
あいおいニッセイ同和損保 | 6,652億円 |
6,718億円 |
三井住友海上火災 | 6,262億円 |
6,456億円 |
合計 | 3兆1,896億円 |
3兆4182億円 |
4社の公式WEBサイトから、業績データを基にまとめました。日本損害保険協会が発表した統計データによると、損保業界全体の正味収入保険料(うち自動車保険)は『平成26年度:約3兆8,768億円』、『平成27年度:約3兆9,987億円』でした。
つまり、大手4社の業界シェア率は平成26年度が約82.2%、平成27年度が約85.4%となります。次に、ダイレクト型の業界シェア率を見ていくことにしましょう。まずは以下の表をご覧ください。
企業名 | 正味収入保険料 | |
---|---|---|
平成26年度 | 平成27年度 | |
ソニー損保 | 813億円 |
851億円 |
チューリッヒ保険会社 | 353億円 |
278億円 |
三井ダイレクト損保 | 344億円 |
359億円 |
アクサダイレクト | 334億円 |
408億円 |
SBI損保 | 242億円 |
230億円 |
セゾン自動車火災 | 172億円 |
225億円 |
イーデザイン損保 | 167億円 |
207億円 |
そんぽ24 | 139億円 |
134億円 |
セコム損保 | 77億円 |
77億円 |
合計 | 2,641億円 |
2,769億円 |
今回は、ダイレクト型の損保会社9社のデータをピックアップしました。上記の表のデータから、シェア率は平成26年度が6.8%、平成27年度が6.9%であることが分かります。
以上のことから、代理店型の業界シェア率は85%と非常に高く、ダイレクト型はそれほど普及していないといえそうです。
ただし、ダイレクト型の正味収入保険料は少しずつ伸び始めているため、今後シェア率が拡大する可能性は十分に考えられます。
代理店型の自動車保険とダイレクト(通販)型の自動車保険には、どのような違いがあるのでしょうか?
それぞれのおもな特徴を表にまとめてみましたので、まずこちらをご覧ください。
ダイレクト(通販)型 | 代理店型 | |
---|---|---|
商品の特徴 | ネット割引など、ダイレクト型特有の割引サービスがある。 | 自動車保険以外にも、保険商品全般を扱っていることがある。 |
保険料 | 代理店型よりも安い。 | ダイレクト型よりも高め。 |
相談・見積もり | 電話やメールでのやり取りとなる。 複数の保険会社のプランを比較しながら加入先を決めることができる。 |
担当者に相談しながら最適なプランを提案して貰うことができる。(対面でのやりとり) |
申込み | 24時間ネットから申込みができる。 申込む際は、ネット・郵送となるケースが多い。 |
担当者にお任せすることができる。 |
事故対応の特徴 | 専用窓口へ自ら連絡し、あとは保険会社が処理を行う。 担当者と直接会うことはない。 結果はハガキなどでお知らせ。 |
代理店へ連絡をすると、担当者と保険会社が処理を行う。 経過状況は、その都度報告して貰うことができる。 |
ロードサービスの特徴 | 種類が充実している。 | 保険会社によって、サービスの種類が限定されることがある。 |
上記のとおり、ダイレクト型と代理店型の一番の違いは、保険料の安さと相談・見積もり時の環境にあるといえそうです。
ダイレクト型の場合、代理店型よりも保険料が安いといわれていますが、自動車保険に関する知識がないと、申し込むまでになにかと苦労が絶えません。
たとえば、必要な補償・特約の内容を決めるまでに時間が掛ったり、分からないことがある度に、サポート窓口へ問い合わせる手間が掛ってしまうのです。
一方、代理店型の場合は、担当者と対面でやり取りすることになるため、不明点はその場で解決することができます。
保険料が高くなることは否めませんが、適したプランを提案して貰いながら契約したい方に最適です。
ダイレクト型と代理店型の基本的な違いが分かったところで、参考までに1つ資料をご覧ください。『現在の自動車保険を契約する際に選んだ理由』の調査結果です。
選んだ理由 | 保険会社の WEBサイト |
比較・一括見積サイト | 保険会社の コールセンター |
---|---|---|---|
保険料が安くなるから | 59.6% |
51.2% |
13.2% |
加入手続きがしやすいから | 33.2% |
25.6% |
21.1% |
WEBサイトが使いやすいから | 33.2% |
24.0% |
5.3% |
地縁・血縁などの関係があるから | 0.8% |
なし |
3.9% |
自動車購入・修理等に合わせて 保険の契約や相談ができるから |
1.8% |
0.7% |
3.9% |
事故の際に必要な手続きを お任せできるから |
1.7% |
1.6% |
なし |
窓口の担当者の対応が良い | 1.0% |
0.5% |
9.2% |
選んだ理由 | 保険専門代理店 | 自動車ディーラー | 自動車修理・ 整備工場 |
来店型 保険ショップ |
---|---|---|---|---|
保険料が安くなるから | 9.6% | 2.0% | 4.9% | 7.90% |
加入手続きがしやすいから | 11.2% | 25.9% | 11.3% | 24.80% |
WEBサイトが使いやすいから | 0.4% | 0.5% | 1.0% | なし |
地縁・血縁などの関係があるから | 27.3% | 7.0% | 26.5% | 14.90% |
自動車購入・修理等に合わせて 保険の契約や相談ができるから |
3.6% | 30.8% | 22.5% | 1.00% |
事故の際に必要な手続きを お任せできるから |
11.2% | 18.4% | 12.7% | 5.00% |
窓口の担当者の対応が良い | 13.8% | 12.6% | 5.9% | 12.90% |
出典:株式会社クロス・マーケティング2015年
『自動車保険に関する調査』
他にも選択理由はいくつかありますが、7つの理由のみピックアップしました。ダイレクト型・代理店型に分けた上で、さらに契約方法ごとに分類しています。
ダイレクト型の場合、『保険料が安くなるから』、『加入手続きがしやすいから』といった理由で選択している方が多いことがわかります。
一方、代理店型は『自動車購入・修理等に合わせて保険の契約や相談ができるから』、『加入手続きがしやすいから』といった理由が最も多い結果となりました。
上記の調査結果は、先述したダイレクト型と代理店型の違いがそのまま表れているといえそうです。
以上のことからも、ダイレクト型と代理店型の違いを把握した上で、保険料の安さを重視する方はダイレクト(通販)型の自動車保険。担当者に相談しながら契約したい方は、代理店型の自動車保険を選択することがベストだといえます。
ここでは、ダイレクト型と代理店型のメリットとデメリットについて解説します。要点を以下にまとめましたので、参考にしてください。
結論から言いますと、代理店型とダイレクト型自動車保険の事故対応に大きな差はありません。
最終的には、事故対応のサポート体制や、損保会社の対応力で判断することになります。
参考までに、それぞれの事故対応のサービス内容について、抑えておきたいポイントごとにまとめましたので、ご確認ください。
ダイレクト型の場合、事故が発生した際は、担当者が現場へ駆けつけることはありません。自ら事故対応窓口へ連絡をする必要があります。
事故現場の写真を自ら撮影して保険会社へ提出したり、必要書類を作成して損保会社へ郵送するパターンが一般的です。その後は書類でのやりとりとなります。
一方、代理店型の場合ですが、以前は担当者が現場まで駆けつけてくれたものでした。
しかし、代理店が受け取るマージンの減少、顧客減少、経費カット、代理店の統合などから、担当者を現場へ派遣することが難しくなったといわれています。
そのため現在は、代理店の担当者と電話のみでやり取りするケースが多いようです。
ダイレクト型の場合、事故受付はコールセンターのスタッフが対応しています。リサーチしたところ、損保会社と直接やり取りするため、対応が早かったといった評価が目立ちました。
また、コールセンターの対応力が高い損保会社が増えていることもあり、事故後の手続きはスムーズだと言われています。
一方、代理店型ですが、代理店型は代理店の担当者が対応することになります。とはいえ、事故発生時に担当者ができることはほぼありません。
保険会社へ連絡をすること、人身事故の場合は警察に連絡をすること、現場の写真を撮影すること、保険契約者のメンタルケアや相談に乗ることくらいしかないのです。
保険契約者・代理店・損保会社の連携がスムーズにいかないと、損保会社とのやりとりに時間が掛ることがあります。
また、言葉を交わしたことのある担当者が対応することになるため、心強いといった意見が散見されますが、必ずしもそうとは言い切れないものです。
経験が豊富な代理店の担当者であれば安心してお任せできますが、経験が浅い担当者や事故対応に詳しくない担当者にあたった場合は、不安を感じてしまう可能性があります。
示談交渉は、ダイレクト型も代理店型も変わりはありません。そもそも示談交渉は、事故を起こした当事者(保険契約者)、損保会社、交渉を依頼された弁護士のみ行うことができます。
代理店の担当者は、示談交渉をおこなう権利を有していないのです。また、過去の裁判の判例や事故判例が基準となるため、過失割合の結果はダイレクト型・代理店型ともに大きく異なることはありません。
事故対応拠点数が多いのは、代理店型損保会社です。たとえば、東京海上日動は244拠点、損保ジャパン日本興亜約310箇所となっています。
一方、ダイレクト型の事故対応拠点は少なめです。ソニー損保は25拠点、アクサダイレクトは11拠点、三井ダイレクトは13拠点となっています。
なお、拠点数は各社の公式WEBサイトに掲載されていた件数を記載しました。(2017年5月現在)
事故対応拠点数が多いと迅速な対応を期待することはできますが、だからといってダイレクト型の事故対応が遅いとは限りません。
なぜなら、サポート体制が整っているケースがあるからです。たとえば、アクサダイレクトは全国約433箇所(2016年12月末現在)、三井ダイレクトは約500箇所(2017年4月1日現在)もの損害調査ネットワークを有しています。
つまり、事故対応拠点数は多い方が良いものの、拠点数のみで損保会社を判断してはならないということです。重要なポイントは、事故対応のサポート体制にあります。
損保会社の場合、1事故1担当制と1事故専任チーム制に分かれています。1事故1担当制とは、一人の担当者が窓口となる形態のことを指し、同じ担当者と話し合いながら事故処理を進めることが可能です。
一方、1事故専任チーム制とは、チーム体制でサポートする形態のことです。特殊な事故でも専門のスタッフがチームプレイで迅速な対応を行うため、事故解決がスムーズだといわれています。
つまり、ダイレクト型と代理店型に違いがあるのではなく、各損保会社によって違いがあるということです。どちらが良いかは個人の好みに分かれるため、一概に言い切ることはできません。
また、事故対応で損保会社を比較する際は、事故受付よりも初期対応までに掛る時間を重視する必要があります。
初期対応とは、事故の相手方への連絡、ケガをした際の治療費の手続き、レッカーやレンタカーなどの手配、修理工場への連絡などのことです。
ダイレクト型・代理店型にかかわらず、事故受付は24時間365日行っているものの、事故を起こしたタイミングによって、初期対応までに時間が掛ることがあります。
以上のことから、ダイレクト型・代理店型の違いで判断するのではなく、損保会社の事故対応の体制など、総合的な対応力で判断することが重要なのです。
2つの事例を用いながら、自動車保険の通販型と代理店型の保険料(年間)を比較してみることにします。
今回は、イーデザイン損保保険(ダイレクト型)・東京海上日動火災保険(代理店型)の見積もりツールを使用しました。
試算条件 | |||
---|---|---|---|
車種 | トヨタ ノア(ZRR85W) |
使用目的 | 日常・レジャー使用 |
等級 | 13等級 |
使用地域 | 東京都 |
運転者 | 配偶者限定(45歳) |
対人・対物制限 | 無制限 |
免許の色 | ゴールド |
人身傷害 | 3,000万円(搭乗中のみ補償) |
所有者 | 契約者と同じ |
一般車両保険 | 290万円 免責5-10 |
東京海上日動:71,040円
イーデザイン損保:42,010円
上記の試算条件で算出したところ、東京海上日動の方が3万円高い計算となりました。
なお、イーデザイン損保の場合、インターネット割引が適用されるため、最終的には4万円異なります。
試算条件 | |||
---|---|---|---|
車種 | ホンダ オデッセイ (2400 アブソルート X-RC1) |
使用目的 | 日常・レジャー使用 |
等級 | 9等級 |
使用地域 | 大阪府 |
運転者 | 配偶者限定(34歳) |
対人・対物制限 | 無制限 |
免許の色 | ブルー |
人身傷害 | 3,000万円(搭乗中のみ補償) |
所有者 | 契約者と同じ |
一般車両保険 | 345万円 免責5-10 |
東京海上日動:100,160円
イーデザイン損保:58,710円
事例1と同様、東京海上日動の方が4万円ちょっと高い結果となりました。
イーデザイン損保はここからネット割引1万円を引くため、年間5万円保険料が異なることになります。
以上ことから、ダイレクト型の保険料の方が断然安いといえそうです。
ダイレクト型と代理店型のどちらが良いか判断に迷った際は、最も重視することを明確化することがポイントです。
要点を以下にまとめましたので、参考にしてください。
私は年間で57,230円の保険料を支払っていましたが、保険スクエアbang!という一括見積もりサイトを利用して、保険料を20,630円まで安くすることに成功しました。
保険スクエアbang!は、見積もり結果がブラウザ上に表示されるので、すぐに保険料を知りたい方にはかなり便利なサービスだと思います。
ちなみに、難しいことは一切していません。5分くらいで出来てしまいました。見積もりサービスと聞くと、資料が大量に送られてくるんじゃないの?電話などの勧誘やセールスがくるんじゃないの?と思われるかもしれませんが、そんなことは一切ありませんでした。